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絶対無職★シープマン  作者: taro_hanabusa
5.ヒツジ男とヤギ男
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71/155

5-1



それからの日々はひどかった。


政府のお墨付きを得たことで、

世界愚是教団の動きはあからさまに目立つようになった。


街を歩けばいたるところに、マンダラ野郎の不気味な仮面のポスターが貼り付けられていたし、隕石の落ちた跡地には、東洋趣味な教団施設が蜃気楼のように立ち並んだ。


人々の不安は募るばかり。

警察の威信が落ちたせいで、ここぞとばかりに悪事に走るヤカラも増えたようだった。


「羊一さま、怖いひとたちが……」


外に買い出しに行く度に、怯えて逃げ帰ってくるベルに、


「心配すんな。おれがついてる。だいじょうぶ、今にマシになる……」


おれは気休めにそう話したが、千夜チヨの意見はもっとドライでどこまでも救い様がなかった。



「残念だけど、あれが『大衆』。これまであなたが身を張ってきた、守るべきひとびとの本性よ」


パニックはひとの心を病ませ、平常時では考えられない愚行に走らせることも多い。


(わかっちゃいても、やりきれねぇ……)


おれは心底、気落ちしていた。


社会ってのは、大人オトナってのは、もっと賢いもんじゃないのか?


突然でてきた変な野郎ヤローに「世界が終わる」と言われただけで、そんなにすぐに崩れちまうほど根性コンジョーナシなもんなのか?



「弱い心の持ち主ほど、終末思想にかれるものよ。街で暴れる連中がそう。自分の不安や無力さを、より弱い者に向ける『暴力』で忘れ去ろうとしているの」


そして暴力の被害者たちは、さらなる恐怖を避ける想いで、てっとり早く安心できる「大きな樹」の下に身を預ける……。



結局、蓋を開けてみれば。

すべては敵の思惑おもわく通り。


教団の信徒は増え続けた。


ほんとうに、情けねぇ。


(情けねぇ世界になっちまった……)



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