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充は必死に耐えていた。
目にうっすらと涙を浮かべ、
握った拳がぎりぎりと、小刻みに震えてるのが見えた。
「俺だって、くやしいさ。自分の職を失ってでも、ヤツに抵抗したいと思う。だが今は……ダメなんだ」
ギリッとおれを見据えて言った。
「俺は立場を捨てられない。俺は、将来、きっと必ず……『警視総監』になってみせる……」
(なにを言うかと思いきや……)
「おいおい、充……冗談はよせ、あんまり失望させてくれんな。おれたちゃテメ—の出世のために、命かけて戦ってるんじゃないぜ?」
——思うようにできねぇくらいなら、そんな役職、ケツにぶち込め!
あまりにひどい罵倒のせいで、
普段から険しい充の目が、一瞬きらりと怒りに燃えた。
「……怒ったのか? そうだ、怒れよ。怒って本音を吐いちまえ!」
壁際にさらにグッと詰め寄る。
それでも偉い警視どのは、深く静かな息を吐き出し。
せっかくの怒りを抑え込んだ。
そして今度は気落ちした、沈鬱な表情を浮かべて、
「羊一……おまえはわかっちゃいない」
突然、おれの名前を呼んだ。
「どうしておまえは『そう』なんだ? ずっと『子ども』のままなんだ?」




