2-11
ボディプレスの不意打ちは、
たしかに成功したかに見えた。
10トン近い鉄の巨体がヒーロー二人を押し潰し、タイルの床を1メートルほど陥没させて墓場に変える……。
そんなビジョンを夢見てたなら、そいつはとんだ読み違いだった。
「潰させねぇよ。やらせねぇ……」
ブ厚い腹の下から相手を片手でぐぐっと持ち上げて。
ついでに一発パンチを入れて、ゴム鞠みてーにぶっ飛ばす。
壁の柱にぶち当たり、ジタバタもがいてまた立ち上がった敵のロボットはカンカンだった。
両目は光るマシン・アイ。
石柱みたいな四つの足に、青銅色のど迫力ボディ。
剣にも槍にもドリルにもなる長くて太い「二本の角」が、自慢の武器といったところか。
「かかってこいや、狂牛病!」
でっかいウシ型ロボット目掛け、おれは勢いタンカを切った。
「ウオォォォ!!!」
敵はブルブル荒い息吐き、大地を蹴って猛ダッシュ、タックルをかますつもりだろうが、
「遅い遅いぜ、アクビが出らぁ!」
その突撃を軽くかわすと、
戦うおれの頭の上からとつぜん
「わーっ!」と歓声のような子どもの声が降ってきた。
(な、なんだ……?)
見上げると、吹き抜けになった上の階から逃げそこなった子どもが数人、おもちゃを手に手に身を乗り出して、こちらを食い入るように見ている。
(おいおい、チビども、アブねーぞ……)
たがおれの視線に反応して、
チビっ子どもはさらに大きな声で大合唱をはじめた。
「がんばれーっ!」
「がんばってーっ!」
——白いヒーローのおにーちゃーん!




