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それから一時間と経たずに。
おれは飛鳥と二人して、カップルたちでにぎわう都心のショッピングモールを歩いていた。
「さあいくぞ、シープマン! わたしについてこれるかな!」
飛鳥の歩行速度は速い。
しかも背筋がピンとしていて、体の軸がまるでブレない「達人」みたいな歩きするから、ポニーテールの髪をくくったリボンも居心地わるそうだった。
「なあ、飛鳥、もっとゆっくり……これじゃあ歩行訓練だ!」
「だらしないぞっ、シープマン! 『デート』はまだ始まったばかりだ!」
なんだかすごく楽しそうだが、
デートがなにかわかってんのか??
きびきびと歩きながら飛鳥は、手首の電子モニターに向けて、逐一なにか報告していた。
「こちら飛鳥。ヒトヒトマルマル、第一目標地点到着」
——これより潜入任務に移る。
なんの作戦かは不明だが、付き合わされるこっちとしては、けっこうたまったもんじゃない。
そのくせプランは単純で、健全かつ「超」退屈だった。
……あのなぁ、ひとつ覚えとけ?
買う気もねぇのに店を回ってぶらぶら「ウィンドゥ・ショッピング」とか、
男がいちばん嫌うやつだぞ!
(そもそも、おれ、買う金ないし……)
飛鳥のプランによるとお次は、
「おしゃれなカフェでパフェ」らしかった。
「うむ。いいぞ、予定通りだ!」
カフェの手前でうなづいて、大股歩きで店に突入。
脇目もふらず一番奥のカップルシートを占領し、真正面におれを座らせた。
「なんだよ、やけに手際がいいな」
「事前にシュミレートしてきたんだ♪ さあ、見てろ、わたしはここで一番流行の『チョコミント・パフェ』を頼んでみせる!」
「……すみません、お客さま。『チョコミント・パフェ』は売り切れでして」
「な、なんとっ! 予定変更だ……!」
声がでけえよ、驚きすぎだ。
店員さんもびっくりしてるぞ。
代わりに出てきたイチゴチョコ・パフェを、すべての面から均等になるよう、フォークで崩して食べながら、
「だが仕方ない、これは仕方ない……」
飛鳥はぶつぶつつぶやいていた。
(か、か、帰りてぇ〜〜〜〜……)




