8-17
「……へ? どういうことだ?」
わたしが驚いて聞き返すと、
ベルは顔中「まっ赤」にしつつ、腰に手を当て猛抗議した。
「ですからさっきも言いましたわ! 『羊一さまは、お元気です』って!」
——目だってすっかり元気ですのよ!!
プリプリと怒る彼女から、彼の方に目をスライドすると。
詐欺師はさっき取った包帯を、いそいそと目に巻き直していた。
「……シープマン。どういうことだ?」
「まあ、なんだ……ほんの冗談だ。おまえもけっこー盛り上がったろ?」
とぼけたフリして誤魔かす気でも、そうは問屋が下ろさない。
(さっきまでのは何だったんだ……なんであんなにシリアスだった?)
わたしは本気で騙されていた。
彼の悲劇を深く哀しみ、その優しさに胸を打たれて、
(あまつさえ……この『純潔』まで捧げようとしていたんだぞ?)
「なんだよ、も〜、コワい顔すんな。なあ、飛鳥、『続き』やろーぜ?」
その場で少し考えてみると、結論は割とあっさりと出た。
あの戦いからひと月経って、「前借り期間」が終わったことで。
彼は新しいCポイントで、「目を治す道具」を出したようだ。
……今日のわたしとのやりとりは、最初から冗談のつもりだった。
わたしを騙してからかって、すぐ「ネタばらし」する気だったのに、
言い出すタイミングをなくす内、
「ひとりの女として見てほしい」というわたしの願いに反応し、
(あわよくば……)という「スケベ心」をむくむく起こしてしまったらしい。
(なるほど、これはサイテーだ……)




