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絶対無職★シープマン  作者: taro_hanabusa
8.絶対無職★シープマン
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147/155

8-11



顔の細部を描《えが》く段には、いよいよ彼は立ち上がり、両手をわたしの頬に当てた。


(ああ、近い……顔が近い……!!)


鼻の高さや眼窩《がんか》の窪《くぼ》み、瞼《まぶた》やまつ毛、眉毛の位置を。

指の腹で巧《たく》みに読み取って、さらさらとキャンバスに描《か》いていく。


(上手《うま》いものだな、よく似てる……)


見えない目をうっすら開けながら、淀《よど》みなく手を動かす様《さま》は、尊く神秘的でさえあった。



10分余りで顔を描き上げ、「話していい」と言われた頃には、

わたしはやっと冷静に——自分がここに来た意味について考えられるようになっていた。



「シープマン、テレビに出よう。キミの活躍を世に広めよう」



会えなかった、この期間。

わたしはずっと考えていた。


どうすれば彼は報《むく》われるのか。

正義の価値を取り戻せるか。


「……大八木指令が何と言おうと、キミはちゃんと評価されるべきだ」



だが彼は、筆を置き。

淡々とした声で答えた。


「……顔が売れちゃあ、いけねぇんだよ」



——もしも、おれが有名になったら。



「千夜《チヨ》のことが、世間にバレる。NOVAをめぐって騒ぎになるぞ」


……あいつの居場所は奪わせねぇよ。


彼がこんなに真面目な顔で、物を言うのはめずらしかった。


わたしの胸はちくりと痛んだ。



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