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驚かさないよう、ゆっくりと、
わたしはベッドのそばに寄り。
「包帯を……とってもいいか?」
「ああ……」
しずかに彼は答えた。
しゅるしゅると白い布を解くと、
額から眉間にかけて走る、深い傷跡が露わになった。
安らかに目を閉じた表情。
それが棺に収まる前の、冷たい「死相」のようにも見えて。
途端にわたしは哀しくなった。
白いヒーロー・マスクの下に、ずっと隠していた素顔。
「戦う男の顔」と呼ぶには、頼りなく、儚げな。
それは芸術家の顔だった。
研ぎ澄まされた感性と、暗い情熱の宿る目元。
わたしは素直に見惚れつつ、同時に後悔を覚えていた。
(どんな理由があるにせよ、彼は戦うべきでなかった……)
二度と戻らないものを悼んで、わたしがしばらく黙っていると、
「なんだよ、ゴミでも付いてるか?」
彼はかつてのようにおどけて、それから不安げな顔になった。
「おい、飛鳥……なんとか言えよ。ちゃんとそこに、いるんだろうな……?」
気づけばわたしは何も言わずに、黙って彼を抱きしめていた。
そうせずには、いられなかった。




