↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶対無職★シープマン  作者: taro_hanabusa
8.絶対無職★シープマン
PR
143/155

8-7



「それで……実際、どうなんだ?」


いつまでも避けていられないから、わたしは思いきって聞いてみた。



——キミの目の……具合だが……。



「さぁな、どーにもわかんねぇ」



……なんとかなるかもしれないし、一生、このままかもしれねぇ。


明るさ暗さがぼんやりとだけ。

物の形《カタチ》がわからねぇんだ。


「まあ、一ヶ月でこれだから、望みは薄いかもしれねぇな」



ズシリと重い衝撃が、わたしの胸の中に響いた。


「それでは、もう……『絵』の方は……」


「ああ、ちゃーんと描《か》いてるぜ」


予想に反し、あっさりと。

彼の口元は笑っていた。


「目が見えなくても絵が描けるのか?」


「『今まで通り』ってわけじゃねぇが、こうやって、手で触れたりさ」


ぺたぺたと机の上を触り、コップをとって指でなぞる。


「ダテに長年やってねーんだ。このアトリエの中のことなら、目ぇ瞑《つむ》ったって大体わかる」


指差した部屋の一画に、うず高く積まれた紙の山は、どれも描きかけのデッサンだった。


静物画。

人物画。


えんぴつで描《か》かれた「だれかの手」や、顔や、体……ふたつの乳房《ちぶさ》。


何度も描いては描き直し、滲《にじ》んでぼろぼろになった紙に、焦りと苦悩が表れていた。


まるで光のない世界から、濃淡を、質感を——かつての記憶と想像力を頼りに取り戻そうとする、気の遠くなるような努力……。



「こればっかりは、やめられねぇよ。おれは諦《あきら》めがわるいんだ」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。