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絶対無職★シープマン  作者: taro_hanabusa
8.絶対無職★シープマン
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141/155

8-5



「いいわ。いつでもいらっしゃい」


アポイントメントはすぐに取れた。


——彼もずいぶん落ち着いたから、いいタイミングかもしれないわ。


テレビ電話に出た千夜《チヨ》さんは、口調こそ以前のままだったが。

その顔はどこか寝不足気味で、やつれた感じが見て取れた。


(きっとわたしの知らないところで色んな苦労があったのだろう……)


なんだか申し訳なくなって、


「行っても邪魔《ジャマ》にならないのかな……?」


つい、そんなことを言ったわたしに。

千夜《チヨ》さんはぴしゃりと言ってのけた。


「その方が彼も喜ぶの。気を紛《まぎ》らわせてあげてちょうだい」



仕事を休んで彼の自宅へ。

取り次ぎ役はいつものように、お手伝いの「ベル」がやってくれた。


「羊一さまは、お元気ですわ。最近はいつもおひとりで……アトリエに籠《こ》もっておいでですの」


——ですが、飛鳥《アスカ》さまとなら……。

 

そう言いかけて不意に黙って、下唇を噛んだ彼女の様子はやけにいじらしかった。


「ベル、心配しなくていいよ。わたしはただの『お友だち』。ところでキミは元気かい?」


ぱっと顔を上げたベルの頬は、りんごのように赤くなっていた。


「もちろん、絶好調《ぜっこうちょー》ですわ!」

 

それを証明するかのように、アトリエのドアを激しく叩き、


「失礼します、羊一さま! スペシャルゲストがお見えですわよっ!」



「……なあ、ベルよぉ。レディってのは……まあ、いいや。通してくれよ」


ドアの向こうのくぐもった声。

久しぶりに聞く彼の声。


「じゃあ、入るけど……ほんとにいいな?」



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