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わたしに課された役割は、体裁のいい「マスコット」だった。
まるで自分の意思など持たず、用意されたコメントを読み上げ、期待通りのポーズでカメラに応じるだけのお人形。
警察組織のイメージアップを図るイベントに呼ばれる度、名士と言われる人々はみな、わたしを口々に褒めそやした。
——もっと自信を持ちなさい。
——きみは立派なことをしたんだ。
(ちがう。そんなの、デタラメだ……)
(こんなのは、正義じゃない……)
無神経なマスコミに追われて、フラッシュをたかれる日々に疲れ、ほとほと嫌気がさした頃。
(彼に叱ってもらいたい……)
そんな不思議な気持ちがわいた。
かつてわたしが間違う度に、「ポンコツ」と呼んでからかった、
あの優しげな笑みを想うと。
今の偽りの自分を捨てて、思う存分、彼に甘えて、
……そしてちょっぴりケンカもしたい。
(わたしが素直になれたのは、彼の包容力のおかげだ……)
あの独特の「ゆるい空気」が、今さらになって恋しくなって。
わたしはついに意を決し、彼を——
奈良部羊一の元を、ひとりで訪ねてみることにした。




