7-23
「終わったな……」
「ああ、そのようだ……」
静まり返った空気の中に、「ピロリロリ……」とアラームの音。
「死にました詐欺」の張本人、大八木充の通信だった。
「……よう、充。無事だったのか」
マンダーラの隕石にやられて、てっきり警視省の建物ごとオダブツしたかと思っていたが。
「予定より早く本部を抜けて、そちらに向かっていたからな」
お互いの無事を喜ぶような、そんな情緒は欠片も見せず。
充は仕事モードの声で、おれに最後の確認をした。
「……ところでだ、シープマン。『流れ』はちゃんとわかっているな?」
「心配すんな、覚えてる。さーて、飛鳥、連れてってくれ」
「『連れてく』って……どういうことだ???」
……そうか、そーいや言ってなかった。
おれが飛鳥に伝えてたのは、「マンダーラに負けた時」のケース。
(おれの体をおまえのジェットで遠くに運んで逃げてくれ……)
あれな、実は「勝った場合」も、同じお願いしてたんだ。
「……警官隊が来る前に、さっさとこっからズラかるぞ」
おれの予想は的中し、飛鳥は俄然、猛抗議した。
「どうしてだ!? なぜ逃げる? 今回はキミの手柄じゃないか!」
「ダメなんだって、聞いてたろ? マンダーラほどの大物は、おれが倒しちゃいけないんだよ」
ヒーロー協会の糞利権と、警察組織の面子のために。
おれはここから逃げなくちゃ、後からひどい目に遭わされる。
(頼む、羊一。堪えてくれ……)
充の立てた計画は、最初からそういう筋書きだった。




