7-22
「ムズカシーことは理解んねぇ……」
——だけど、おれには「友だち」がいる。
バカでもクズでも無職でも。
……叶わねぇ夢、抱えていても。
まだこの世界にはたったひとり、
おれの才能を見捨てないで、認めてくれてるヤツがいる。
そいつの夢はヒーローなんだ。
おれとふたりでやるヒーロー。
だから、おれは戦うんだよ。
この先も。
どんな敵とも。
「そうか……きみは幸せだ……」
答える声はか細くて、ほとんど聞き取れなくなっていた。
「なあ、飛鳥、あいつの仮面……」
——仮面をとってやってくれ。
「……心得た」
飛鳥の手が、おれを離れて、ヤツの仮面を剥がしにかかる。
(あんた、どんな顔してるんだ?)
もちろんおれには見えなかったが、掛けるべき言葉はわかっていた。
「あんたはすごい、偉いやつだよ。たったひとりでよくがんばった」
——敵になりたくなかったぜ……。
——そうか、わたしは残念だ。
きみの友情を受け取るには、わたしは歳をとりすぎた……。
「さらば、我が友、シープマン……」
遺言のようにそう言ってから。
「ふ、ふふふ……『シープマン』か。覚えやすくて良い名だな」
最後に人間らしく笑って。
かつて超人だった男は、ついに静かにこと切れた。
飛鳥に聞いたところによると、不思議なことにヤツの体は、
死の瞬間にさらさらと、砂に変わっていったという。
跡には身に纏っていた布と、鋼鉄の鎖だけが残った。
そう、たったそれだけが……。




