7-16
(これで最後だマンダーラ……)
まっ暗闇のグラウンド、見えない青空を指し示して。
おれはバットをすらりと構え、「ホームラン予告」を決めた。
残すチャンスは一度きり。
この1球で、すべてが決まる。
勝利の女神が味方するのか、
はたまた無様に三振か。
……まともな感覚の持ち主なら、「絶対、無理だ」と言うんだろうが。
おれの考えはちがっていた。
(無理だとか、不可能だとか。そんなのはもう、聞き飽きたんだ……)
「投げてくるぞ、シープマン!」
響く飛鳥の声を合図に、自分の耳に全神経を集めるつもりで「音」を聴く。
空気を切り裂く豪速球が、バッターにとって絶好の位置に届く瞬間、そこを打つ……!
「ボラアアアアァァァァァァァ!!!」
(……『ここ』だあッッ!!!)
全身全霊のフルスイング!
飛んできた、直球は——
——バットの下にわずかに逸れて、
残念無念、「空振り」に——
(……させるかよッッ!!!)
打てない球が来ることくらい、そんなの想定済みだった。
……最後に明かすおれの「秘策」は、今、握っているこの「バット」。
世界のルールを自由に変える、NOVA特製のこのバットこそ、
Cポイントを「50」も使って千夜が寄こした「奥の手」だった。
——どんなコースで攻められようと、《《絶対にヒットを打てる》》ように。
作戦は、単純だった。
(今だ、バット、『デカく』なれッ!)
太さも長さも規格外、大木みたいな棍棒《コンボ—》が、
逃げる虚界球を捉えて凄まじい火花をまき散らした!




