124/155
7-14
フザけた提案なのは知ってる。
勝算だってあるわけじゃない。
でもヤツにとってこの条件は、決して悪い話じゃなかった。
たしか充の情報じゃ、
マンダーラこと萬田満夫は、学生時代にピッチャーとして華々しい記録を持っていた。
加えておれとの殴り合いより、もっと平和な形の勝利を期待しているこの状況。
(さーて、応じてくれるかどうか……)
おれは余裕を装いながら、心の底で祈っていた。
(頼む……頼む、乗ってこい……!)
マンダーラは静かにこう言った。
「……よかろう。3球だ」
聞いた瞬間、冷や汗が出た。
「よーし、そうでなくっちゃな! 正々堂々3球勝負、『プレイボール』といこうじゃねぇか!」
おれは飛鳥に介添えされて、架空のバッターボックスに立った。
「でもキミは……その目では……」
心配そうな相棒に、
「おまえがいるからやれるんだ」
おれは迷いもなく言った。
「一球、二球は様子を見る。おまえはおれの目になって、なるたけ情報を集めてくれ」
——ヤツとの距離、球のスピード、高さ、バットを振るタイミング。
「……わかった、できるだけやってみよう」
「頼んだぜ……相棒!」
そして世界の命運を賭け、野球勝負が始まった。




