6-12
観音開きのドアを開けると、
そこが瞑想室だった。
海底みたいに冷たく青い、巨大なドーム状の空間は、プラネタリウムのようにきらめく無数の光に照らされていた。
周囲の壁にぐるりと浮かぶ、「梵字」の列に囲まれて。
部屋の中央の台にひとり。
そいつは待ち構えていた。
台座に腰掛け片脚を組む、
その体勢は、半跏思惟。
超然としてまるで動じず、
こちらをにらみつける仮面。
「どうやら本物みてーだな……」
実物見るのは初めてだけど、なかなか奇妙な格好だった。
ゴツゴツとして白目を剥いた、異形の神を象る仮面。
背格好は常人並だが、手脚がやたらと長い気がする。
黒い僧衣のはだけた胸に、どういうわけかぽっかり空いた、
「黒い大穴」の周りを「金剛杵」のマークがぐるりと取り巻いている。
……あとは首からジャラリと下げた、金属製の大きな「鎖」。
武器らしい物は持ってなかった。
「わが名はマンダリ・マンダーラ……面会時間はまだ来ていない」
「そー、カタいこと言うなって……テメーを倒しに来たんだよ」
——正義の味方のお出ましだ。
両の拳を「ゴツっ」と合わせて、挑発的に語りかけると、
マンダラ野郎は立ち上がり、瞑想台からするりと降りた。
「ヒーローか……つまらぬな。何ゆえ汝らは死に急ぐ?」
「世界の平和を守るため……なんてのはただの『建前』だ」
深ーく息を吸い込んで、
おれは野郎に怒鳴り返した。
「大事な家族を守るため! それ以上もそれ以下もあるかよッ!」




