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「……『最後』だなんて、とんでもない。あなたは帰ってこなくちゃダメよ」
あなたが死んだらどうやって……。
「わたしは生活してけばいいの? お金が入ってこないじゃない!」
……どこまで本心かは知らないが、やれやれ、ヒデぇこと言いやがる。
声の震えを隠そうとして、ちょっと過剰に演技してるが、
まあ、とりあえず「口調だけ」は、いつもの調子に戻ったようだ。
「おれが死んだらビルをやるよ。今まで助けてくれたお礼だ」
どーせ行く当てもねぇんだろ?
好きなだけ、暮らすもよし。
なんなら売っちまってもいいぜ?
千夜はしばらく黙りこみ、そしてぽつりとこう言った。
「奈良部くん、あなたって……ほんとにダメな男よね」
——あなたを好きになる子はみんな、あなたの勝手に振り回される。
気の向くままにひとを助けて、
居場所を与えて受け容れるのに、
自分の大事な部分には、だれひとりとして踏み込ませない。
どれだけみんなが心配しても、
結局、最後は自分勝手。
ひとの気持ちも知らないで、あなたはやりたい放題だもの……。
「おい、それは言い過ぎじゃねぇか……」
言い返しかけてハッとした。
マイクの向こうの暗闇で、
千夜はしくしく泣いていた。




