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魔珠  作者: 千月志保
第10章 魔珠の里
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製造室(1)

 里? そんなばかな。

「驚いた顔してるね」

 それはそうだ。自宅で意識を失って気がついたら里にいるなんて。訳が分からない。

「忍びの者からシェリスさんに先に事情を話してお茶に睡眠薬を入れてもらったんだ。それで君が眠っているうちに忍びの者が里に連れてきたんだ」

 味方だと確信のない人と何かを口にするときは、ある程度は用心する。だが、シェリスが出したものを警戒することはない。シェリスには絶対的な信頼を置いている。そのシェリスが事情を知らされた上で協力したというのならば、それはそうする必要があるとシェリスが判断したということだ。

 身体がこれだけ固まっているということは、何日間か眠ったままだったということだ。どうやって連れてこられたのだろう。徒歩や瞬間移動を繰り返して、といったところだろうか。

「手荒な方法になっちゃってごめんね。でも、長老会がスイに里に来てもらうって決定したから。里の場所教えるわけにはいかないし」

「なぜ長老会が?」

「渡したいものがあるって言ってた。それから見せないものも」

 心当たりはない。いったいなぜ急に。

「今日はゆっくりして。もし良かったら少しこの周りを歩いてみてもいいよ」

 考えても仕方がなさそうだ。スイは気持ちを切り替えて穏やかな微笑みを浮かべた。

「面白そうだな。案内してもらおう」

 今まで行ったことのある周辺諸国とは全く違った独自の文化を持つ里。せっかくの機会だ。好奇心が満たされるまで貪欲に観察させてもらおう。


 朝、目が覚めると、隣で寝ていたメノウもすぐに気づいて目を開ける。

「おはよう、スイ。ちゃんと眠れた?」

 普段ベッドで寝ているスイを気遣い、メノウが訊ねる。この畳と呼ばれる床は、硬すぎず、その上に敷かれた布団もふかふかと気持ちが良かった。初めてではあるが、寝心地は悪くなかった。

「良かった」

 メノウは笑顔になった。

 メノウに指示されながら、身支度を調える。支度が終わると、玄関に案内された。扉を開けると、栗毛の馬が二頭用意されていた。

「行くよ」

 どこに行くのかは不明だが、取りあえずメノウと同じように馬に跨がる。メノウの馬が動き出したのを確認すると、スイも馬の腹を蹴った。一瞬で追いついて横に並ぶ。たわいない話をしながらも、スイは辺りの景色を注意深く観察し、記憶に刻んでいた。やがて森の中に入った。さりげなくスイの行動を見ていたメノウはにっこり笑って言った。

「ここからは特殊な結界が張り巡らされているから記憶しても無駄だよ」


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