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魔珠  作者: 千月志保
第9章 駆け引き
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担当官の仕事(4)

「それに里から魔珠の供給を断たれても、魔術師を犠牲にすれば自前でエネルギーを確保できるということだ」

「でも」

 キリトは深刻な顔になった。

「魔術師はどうなるんだ?〈器〉になれるのが魔術師だけ。長期間その方法でエネルギーを確保していくとなると、〈器〉になるのが一度で済まなくなるだろう。そうなったら」

 壊れる。あんな苦痛一度味わっただけでもエーベルのようになる。二度目には苦痛だけではなく恐怖も加わり、魔術師たちの心を蝕んでいくはず。人間として正常に機能できなくなるだろう。

「私は、メノウにこの調査を任せて欲しいと言った」

「そうだったな」

「次会うとき報告する義務がある」

 二人はうつむいて黙り込んだ。しばらくしてやっとスイが口を開く。

「なあ、キリト。私が嘘をついて兵器などなかった、そんなものを作れるほどのエネルギーも確保できないとメノウに報告すれば」

「やめろよ、スイ」

 スイも分かっている。そんな報告をしたって里が動き出すだけだ。いずれ真実にたどり着く。その間、輸出が止められて魔術師たちが〈器〉にならなければならない事態は回避されるかもしれないが、所詮時間稼ぎにしかならない。

「お前、メノウのこと信じてるんだろ」

 スイははっと顔を上げた。

 信じている。いや、信じたい。

「でも、メノウは」

 涙が独りでに溢れてきた。

 メノウは信じてくれている、そう言える自信がない。

 揺らぐ。心の中で大きく揺らぐ。

「なんでだよ。メノウはお前が守るって決めた大切な友達なんだろう」

 そう。メノウを守るために魔珠担当官になった。でも。

「スイ」

 キリトが優しく肩に手を置く。

「友達なんだ。全部打ち明けて相談に乗ってもらえばいいじゃないか。二人でどうするか決めればいいじゃないか」

 そうだ。でも。

「私たちは……同じ方向に向いていない」

 キリトは立ち上がった。もう片方の肩にも手を載せて両手に力を込める。視線は鋭くスイの目を射抜いていた。

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