表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔珠  作者: 千月志保
第9章 駆け引き
82/134

担当官の仕事(2)

「本当に……あったんだ」

 キリトはしばらく言葉を失っていたが、スイが兵器の描写をし出すと、注意深く耳を傾けた。

「つまり、リザレスはマーラル以上の性能の魔術兵器の開発に成功していたと?」

「そういうことだ」

「でも、どうやって? そんなに魔力を確保できるわけないだろう」

「できるんだ。そして、その方法を知るために研究所に今日まで泊めてもらっていた」

「そうだったのか」

 まずスイはレヴィリンと同じように魔法水の話をした。

「ああ。確かに。水よりも魔力をたくさん蓄えられるものがあったら、もっと効率よくエネルギーを抽出できるよな」

「博士はその役割を担うものを〈器〉と呼んでいた」

「へえ、なるほどなあ。で、どういうものなんだ、その〈器〉っていうのは?」

「……人間だよ」

 キリトは押し黙った。それはそうだろう。人間を〈器〉にしようなんて思いつくのはレヴィリンだけだろう。キリトは一生懸命頭の中を整理していた。

「確かに。人体は〈器〉の条件を満たしうる。でも」

 キリトも同じことを考えた。人体を〈器〉にしたとして、〈器〉にされた人に何らかの影響は出ないのかと。

「そう。あとどのようにして兵器を作れるほどのエネルギーを抽出したのか。博士に見せていただけることになったのだが」

〈器〉として指定されたエーベルの反応をキリトに伝えた。

「よほど苦しかったんだろうな。それが一週間、いやその後も引っ張るとか。いや、むしろそっちの方が苦しかったのかも」

 スイは険しい表情のまま頷いた。そして、スイが〈器〉になったことを話した。

「それで何日も研究所にいたのか。で、どうだった?」

 聞きたくなかった。スイが苦しい思いをする話なんて。だが、それはスイにとって必要な情報だったからこそ〈器〉になったのだ。スイはその話を聞いて欲しいとキリトに言っている。少しでもそれがスイの望みに添うのなら。キリトは覚悟を決めた。

「魔法陣でまずは魔珠を体内に埋め込むんだ。静かに胸に吸い込まれるように入っていくのに、それだけでもう胸が締めつけられるような、苦しいような、痛いような。それだけでももう二度とやりたくないとほとんどの人が答えると思う」

「そうか。みんなそんな苦痛に耐えて……」

 聞いているだけでも、スイの表情を見ているだけでも苦しい。

「そのあと魔法陣の円周から半球型のシールドのようなものを展開するんだ。そして、魔力を〈器〉に注ぎ込んで……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ