担当官の仕事(1)
取りあえずまずは私邸に戻る。今日は城に顔を出すつもりはなかった。
「お帰りなさいませ」
「留守の間、いろいろとありがとう。何かあったか?」
「はい。ハウル様が戻ってこられたと。アリサ様がまた改めてお礼を言いたいとおっしゃってました」
「アリサさんに会ったのか?」
「スイ様がしばらくご不在でいらっしゃることをキリト様にお伝えしに行った際に偶然」
「そうだったのか」
「キリト様にはスイ様のお手紙も読んでいただきました」
さすがシェリスだ。やって欲しいと思っていたことは全部してくれている。
「夜、キリトに会いに行こうと思う。連絡はしなくていい」
「かしこまりました」
それまでは伝えることを整理しながら体を休めるつもりでいた。一人で研究所で起こったことを思い出すのは怖かったが、これも必要なことだ。
午後九時前だった。静かな夜で、いつものように自室で読書をしていると、来客を告げられた。
「お帰り、スイ。少しやつれてるぞ」
指摘されてそうだろうなと思う。自分でも鏡を見てそう思った。
「ハウルさん、帰ってきたよ。ありがとな。アリサも感謝してるって」
スイは穏やかに微笑んだ。
「で、あの手紙はどこまで本当なんだ?」
ソファに腰かけながら、キリトは訊ねる。スイも同じように近くのソファに座らせてもらった。
「偽りはない。ただ伝え方が大雑把なだけで」
「では、詳しく話してもらおうか」
スイは頷いて書庫でレヴィリンに会ったところから話し出した。
「何だかまるでお前をわざわざ迎えに来て誘い出したみたいだな」
研究室に招かれたところまで聞いて、キリトが感想を述べる。
[お前もそう思うか?」
キリトは首を縦に振った。
「お前が来たこと知らされて、博士はハウルのこと気づかれたのかもと思ったんじゃないかな。博士はお前の能力を割と正確に把握している。だから先手を打って」
「そうだな。そのとおりだ」
スイは険しい顔をした。
レヴィリンの研究室で情報交換をして兵器のある部屋に連れて行かれたことを話した。




