尾行の成果(1)
「こんにちは。セシルも元気そうで何よりだ」
挨拶しに来たセシルの頭の上に大きなてのひらを載せる。すると、マノンがスイの腕を引っ張った。
「ねえ、剣のお稽古」
「マノン、スイはキリトと大事なお話があるから、また後でお願いしましょう」
「いえ、構いませんよ」
かがみ込んで諭すアリサにスイは笑いかける。
「いいだろ、キリト」
すると、キリトも笑った。
「ああ。話は後でゆっくり聞こう。それにしても、どっかで聞いた台詞だな。誰に似たんだか」
エミリのことか、と思いながらスイも苦笑する。
「セシルも来るだろ」
「はい」
それまで礼儀正しく振る舞っていたセシルが子どもらしい満面の笑みを浮かべる。
「では、行こうか」
「ごめんなさいね、来たばかりなのに」
五人は中庭に向かった。
夕食後、しばらく談笑していると、子どもたちが目をこすり始めた。
「今日はそろそろ寝ましょうか」
「うん。寝る」
「じゃあみんなにおやすみ言って寝ましょう」
二人は近くに来て眠そうな目で言った。
「おやすみなさい」
「ああ。おやすみ」
スイは三人を戸口まで送りながら、アリサの耳元でささやいた。
「お話があるので、後ほど」
「分かったわ」
アリサは子どもを寝かしつけて戻ってきた。
「何か分かったの?」
落ち着いた表情で訊ねながら空いていたソファに座り、話の輪に加わる。スイは事務的な口調で話し始めた。
「あなたの見張りをしている者が動きを見せたので、尾行しました」
「そんなことだろうと思っていたよ」
横からキリトが口を出す。やはりちゃんと分かってくれていたようだ。




