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魔珠  作者: 千月志保
第2章 尾行
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捕獲作戦(2)

 だが。

「マーラルはやはり魔術兵器を開発しているのだろうか」

「おそらくね」

 メノウは平然と言い放った。

「ただ、証拠がつかめないんだよね」

 少し困ったような顔をする。確かに証拠がなければ、マーラルのもくろみを阻止しようにも動けない。

 スイは窓の方にちらりと目をやった。

「メノウ、気づいていたか? お前、尾行されている」

 すると、メノウはわざとらしく笑って見せた。

「それは困るね。そろそろ里に帰ろうと思っていたのに」

 そっと席を立って窓の方に歩き、カーテン越しに外を見る。対角線上にある建物の影からじっとスイの屋敷の扉を監視している。入口付近の人の出入りをチェックしているようだ。

 ずっと二ヶ月間メノウをつけてきたのだから、おそらく目的は公表されていない魔珠の里の場所を突き止めること。

「里を占領して魔珠の利権を奪おうとか、そんなこと考えているのかなあ」

 フローラでの一件のことを考えると、そんな暴挙に出るなんて怖くてできない。企てが失敗しようものなら、魔珠の輸出を停止されることだってあるのだ。そして、魔珠は一国の政権を崩壊させることだってできるのだ。

 失敗しないという自信がなければできないことだ。例えば、圧倒的な戦力を備えている、とか。

「そんなことできる組織があるとしたら、それはマーラル軍だろうね」

 マーラルが魔術兵器の開発に成功している、あるいは近々成功する見込みがあるのだとしたら、一見無謀なようなこの試みも現実味を帯びてくる。

「ねえ、スイ。協力してもらえないかな?」

「尾行を巻くのをか?」

 メノウは首を横に振って不敵な笑みを浮かべた。

「捕らえるのをだよ。生きたままね」

「どうするつもりだ?」

 諦めたようにスイが尋ねる。優しい言葉遣いで話していても、メノウの考えることは意外としたたかである。それでもメノウを危険から守りたい。そのためにできることがあるなら何でもするとスイは決めている。メノウは大切な友人なのだ。

「マーラル軍の者だとしたら、いろいろ聞き出したい情報があるから」

「そんなに簡単に吐くかな」

「吐かせる手段はいくらでもあるよ。生きたまま捕らえられればね」

 華奢で童顔。スイより一つ年下なだけなのに、少年のようにあどけない顔をしている。知らない人がメノウの口からこのような言葉を聞いたら、さぞかし驚くだろう。

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