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魔珠  作者: 千月志保
第2章 尾行
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捕獲作戦(1)

 長い髪が風になびく。港はやはり風が強い。

 船が着いた。スイはじっと船から人が降りてくるのを待っていた。

「スイ」

 姿を見つけるなり、メノウが走ってくる。

「迎えに来てくれていたんだね」

「ああ。元気にしていたか?」

 メノウの荷物を一つ受け取りながら、スイは町の方に歩き出した。メノウも横に並んでついてくる。

「二ヶ月ぶりくらいかな」

 たわいもない会話を交わしながら、スイは船の方をそっとうかがった。

 やはりいる。

 二ヶ月前に為替所から慌てて出てきたあの男。

 真っ直ぐ前を向いたまま船を降りていたが、目がこちらを見ている。


 スイは尾行の男がついてきているのを時折確認しながら、いつもどおりメノウと私邸に向かった。

 いつもの部屋に案内し、荷物を置いてもらい、そのまま同じ二回の談話室で話すことにした。今日は情報交換だけで魔珠の取引はないので、魔珠の部屋でなくてはならない理由はない。

「それで、何かめぼしい情報はあったか?」

 あまり余計な話はせずにスイが訊く。

「そうだね。やっぱりマーラルの魔珠の輸入量が気になるんだ。何かとんでもないことをしでかしそうで」

 メノウが不安そうな顔をする。

「例えば、フローラみたいに」

 フローラは南方にある島国だ。かつて魔珠のエネルギーを利用して魔術兵器を製造した。兵器の破壊力は莫大で、周辺国の軍事バランスを脅かすほどのものだった。それを利用してフローラは周辺国に侵攻しようとした。結局、そこで魔珠の里が動いて侵攻は阻止された。周辺国の力のバランス、そしてそれ以上に里の権威が崩れることを恐れて、魔珠のフローラへの輸出を停止したのだ。魔珠のエネルギーはこの辺りの国々ではもはや生活必需品だ。人々は魔珠から供給される魔力によってしか火も光も得られない。魔珠を断たれることで現在の生活水準の維持が困難になる。当然国民がこの事態に納得するはずもなく、当時政権を握っていたフローラ王は王位を奪われ、代わりに先王の弟の息子にあたる人物が新たな王として君臨した。新国王は直ちに兵器の放棄を宣言し、里の指導の下、兵器を破壊し、新たに里と契約を結び、事なきを得た。この事実は周辺国にただならぬ衝撃を与えた。以降、魔珠を利用した兵器などの開発の噂は聞こえなくなった。

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