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魔珠  作者: 千月志保
第2章 尾行
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捕獲作戦(3)

「お前、今、最高に悪い顔してる」

「スイに言われるなんて光栄だね」

 切り返されて苦笑するしかなかった。

「情報、リザレスも欲しいでしょ? 協力の見返りに僕たちが得た情報の一部をリザレスだけに提供するってことでどう?」

「例えば、マーラルが本当に兵器を開発しているか、とか?」

「それは最低限だね。他にも協力に見合うだけの情報は提供するよ。こちらとしても、その方が都合いいしね」

 つまり、ある程度マーラルの情報をよこしておいて、いざというときに動いてもらおうという魂胆だ。

「分かった。では、万が一の場合を考えてリザレス国内であいつを捕らえることができるように作戦を立てよう。私がルートを考える。指定した地点で合流してそこで奴を抑えよう」

「そこで里の忍びの者たちに引き渡すよ」

 里には必要に応じて動く行動部隊のような役割を担う者がいて、その者たちを「忍びの者」と呼ぶそうだ。忍びの者は諜報活動が主な任務のようだが、里の立場が有利になるように実際に自分たちで行動したり、関係者を裏で操ったりすることもあるらしい。スイも気配は感じることができることもあるのだが、よほど訓練されているらしく、姿を見つけることは難しい。詳しい仕組みはスイにもよく分からないが、メノウは魔珠を使って忍びの者たちと交信することもできるらしい。

 スイはゆっくりとした動作で席を立ち、ぴんと伸ばした背を向ける。後ろにあった本棚に手を伸ばし、地図を出してテーブルに広げた。

「この時期なら、スフィア山脈とかはどうだろう」

 リザレスの地図だった。地図の上の方、つまり北の国境付近に山脈がある。

 山脈を越えれば、隣国のパウンディア。まれに国境を越えようという商人や旅人が通行する。パウンディアには航路を利用する人が多いので、険しい山道は賑わうことはない。加えて、春になったばかりのこの時期は雪がまだ残っていて寒い。他の通行人のいないときを狙って仕掛けることができる。

「いいね。どこから登るの?」

 子どものように無邪気に尋ねるメノウだったが、瞳に宿る光は鋭い。

「アレアという町がある」

 スイは地図を長い指で差した。山脈の麓の中央部にある町だ。スフィア山脈を越える旅人は大抵この町に立ち寄ってから山を登る。

「定番だね。どうやって行く?」

 旅慣れたメノウはこのルートもご存じのようだ。普段はもっぱら航路を使っているが、いざというときのために調べてはあるのだろう。

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