種明かし(2)
「はい。大切なことでございますから」
そのつもりで引き取った以上、セイラムはスイを自分の子どもとして、リザレス人として育ててきた。だから、スイが里に行って真実を知るような事態は予想外だった。セイラムは一通り事情を聞くと、クレアの顔を見た。クレアは優しく頷いた。セイラムはシェリスと忍びの者に「分かった」と答え、「このような日が来るとは」と口元をほころばせたという。
シェリスの手際の良さにスイはただ感心するばかりだった。うつむいてくすりと笑うと、スイは続けた。
「母は一目でそうとわかるくらい顔立ちがよく似ていた」
シェリスもにこやかな表情でスイの話を聞いていた。
「私は素晴らしい母が二人もいて幸せだ。父のことももちろん尊敬している。産んでくれた両親にも育ててくれた両親にも感謝している」
「産んでくださったお母様もきっとそのような方だと思っておりました」
シェリスが嬉しそうに相槌を打つと、スイは優しい眼差しを向けて言った。
「そして、ずっと側についていてくれるシェリス、あなたにも本当に感謝している。いつもありがとう」
不意討ちを喰らってシェリスは少し驚いたようだったが、すぐにいつもの穏やかなシェリスに戻って頭を下げた。
「もったいないお言葉です。これからも少しでもお役に立てるように尽力させていただきます」
想像していなかったようなかしこまった態度で返されて今度はスイの方が戸惑う。しばらくお茶を飲みながら和やかに里であってことや見たことを話す。そろそろ出かけても良さそうな時間になると、スイは伝えた。
「次の休みに父上と母上に会いに行こうと思う」
「かしこまりました。手配しておきます」
スイは席を立った。
「そういえば、キリトに何か伝えたか?」
「はい。こちらからお伝えするわけにもいきませんので、ご足労いただきまして」
つまりスイが出勤してこないので、キリトがここまで来てシェリスに事情を聞きに来たということだ。
「今はお伝えできないのですが、お戻りになりましたら、お話にうかがえると思いますとお伝えしました」
「ありがとう。今からお話にうかがうとするよ」
言い残すと、スイは身支度を整え、家を出ていった。




