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魔珠  作者: 千月志保
第11章 迎撃準備
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手にした世界(1)

 スイが夜分急に自宅に訪れるのにはもう慣れている。キリトはあまり慌てずに自室にスイを迎え、顔色を観察した。

「元気そうで良かった。何か飲むか?」

 いつもほど飲めそうな気はしなかったが、スイは持ってきた剣を横に置き、勧められた酒につき合うことにした。キリトもいつもと違う剣だということに気がついたらしく、ちらっと剣を一瞥した。

「心配してたんだぞ。どこに行ってたんだ?」

 芝居じみた大げさな口振りからさほど心配していなかったことが分かる。シェリスがちゃんと対応してくれたおかげだ。スイは優雅な動作でグラスを傾けて酒を一口飲み、平然と返す。

「魔珠の里に」

 驚きで飲み込もうとした酒が変なところに入りそうになって慌てて飲み込むことに集中する。胸に手を当て間違いなく酒が飲み込めたことを何となく確認したことにして元の高いテンションに戻し、やっと言葉を発する。

「里? 里だと?」

 スイは忍びの者が私邸に訪れたことを話した。

「こちらの提案を受け入れると伝えに来てくれたんだ。だが、その前に」

「その前に?」

「私に真実を知って欲しいと」

「真実?」

 不思議な言葉をつぶやくようにキリトが繰り返す。スイは薬で眠らされ、目覚めるとメノウがいてその場所が里であると教えてくれたことを話した。

「次の朝、メノウに魔珠を製造している工房に案内された。里の人でも関係者以外は立ち入り禁止で、メノウも初めて入ったらしい」

「そういうのをスイ自身の目で見ておいてもらいたかったってことか。で、どんな感じだった?」

「暗い部屋にカプセルが十体ほど並んでいるんだ。その中に〈器〉が眠っているんだ」

「つまり、人?」

「そう。しかも全て同じ人」

「同じ? どういうことだ?」

 スイは〈器〉がクローンであることを説明した。

「そんな技術が。でも、確かにそうすれば何人もの人を犠牲にする必要はなくなる。いや、それでも誰かが犠牲にならないといけないことには変わりはないんだが」

「だが、最小限の犠牲で今の世界を維持できる」

「そうだな。でも、どうせクローンを作製するなら、オリジナルは解放してやればいいのに」

 もどかしそうにキリトが言うと、スイは里で聞いたことを伝えた。

「オリジナルは〈器〉としての役割の他に、トラブルが起こったときに調査できるように手元に置いているとのことだ。それともう一つ。秘密を外部に漏らさないため」

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