MISSION? お兄ちゃん日和とたまご日和
「アンドロイド02号、買い物に行かないか?」
「お兄ちゃんと買い物?」
「うん。僕…じゃないね。俺と買い物」
お兄ちゃんが笑って私の頭を撫でた
「行く行く!待ってて…準備してくる」
「はいはい」
お兄ちゃんは好きだ
他の人みたいに冷たくないし意地悪でもない
アンドロイドでも…『造られた』ものでも一人の人として扱ってくれる
こんな私でも『女の子』として扱ってくれる優しい人だから
私はお兄ちゃんに貰った部屋のクローゼットから新しい洋服を出した
普通の女の子にみえるかな?
まぁ、手がちょっと機械っぽいていうか…大きい手袋をしてるみたいだけど
鏡の前でちょっとにやけてると部屋の扉が叩かれて綺麗な女性の声が聞こえた
「アンドロイド02号、準備は終わりましたか?」
「黒猫…さん…」
「失礼します。…あら、終わっているみたいですね」
彼女は扉を開けて入って来た
メイド姿の黒猫さんは私を見て一言いうと直ぐに出ていってしまった
これが普通なんだろうけど、この冷たい猫さんより暖かい龍の方が格好いいし綺麗だもん
やっぱり、お兄ちゃんが私は好きだと思った
◇
「おまたせ、お兄ちゃ………」
「嗚呼、待ってないよ。行こっか」
「待ちましたよ。行きましょうアンドロイド02号」
「け、黒猫…さん」
やっぱり猫は嫌いだ
◇
「買いすぎちゃったぁ…かなぁ?」
お兄ちゃんが苦笑いで言った
お兄ちゃんは大きな紙袋を抱えている
私と黒猫さんはビニール袋を二つずつ持っていた
「大丈夫?お兄ちゃん」
「ん?平気平気!それより早く帰ろっか。君のメンテナンスしないとね」
「でしたら龍夜様、私が運んでおきます」
「別にいいよ黒猫。大丈夫」
お兄ちゃんが言って歩きだそうとした時、目の前で男の子が盛大に転んだ
「ふぇっ…うわぁあぁあああああぁぁぁぁんッッッッッ!!」
「………」
黒猫さんは何も言わないで男の子を見ている
お兄ちゃんを見ると――…
「えっ…?」
いつのまにか男の子の元に立っていた
「おにい…ちゃん?」
「………龍夜様」
悪者なのに、お兄ちゃんは男の子に優しく笑った
「大丈夫?お父さんお母さんはどうしたの?」
「ふぇぇ…いないよ。おにいちゃんと来たんだもん」
「お兄さん…と…?」
その時…一瞬だけ…一瞬だけ、お兄ちゃんの笑顔が強張った気がした
「あ、おにーちゃんだ!じゃあねバイバイっ!ええと…………おじさん?」
「おじっ…!?あ、ああじゃあね……」
おじさん…
ええええええ………おじさん!?
お兄ちゃんは結構おじさんが堪えたらしくちょっと肩を落として歩いて来た
「龍夜様はお優しいのですね。……大丈夫ですか?」
「あー…うん。大丈夫…ダイジョウブ…ダイジョウブダヨ」
全然大丈夫じゃないよお兄ちゃん!!?
「あはははっ…おじさんかぁ…。龍ちゃんでさえ言わなかったのに………。…老けたかな………?」
「り、龍太郎―…弟様ですよね?」
黒猫が慌てて言った
お兄ちゃんの鬱モードは厄介だから
一か月も引き籠まれたら部隊が大変な事になる
「お兄ちゃんの弟?」
「あぁ…龍ちゃんは弟だよ?」
「ふーん」
弟―…いいなぁ
私も兄弟が欲しい
…―や、確かにね。一応アンドロイド01号03号も製作者は近いけど…
兄弟姉妹って言うかなぁ?あの人達…
「……どうなさいました?龍夜様?」
「ううん。なんでもないよ。只、元気かなって」
「お兄ちゃん?」
「龍夜様?」
「―――――……なんでも…ないんだ」
お兄ちゃんは笑っているけど、何処か別の場所にいるみたいだった
私じゃない別の人―…
きっと弟が心配なんだと思う
「お兄ちゃんはなんで悪者になったの?」
「え?!結構唐突だね。なんで…かぁ…。んー…龍ちゃんに悪者になってほしくないからかな?」
「え?」
「首領と約束事してね…。龍ちゃんは絶対に此所には来ない。悪者にはならない。…墜ちるのは、手を汚すのは俺だけでいいんだ。嫌われても、憎まれても、忘れられても守り続けるよ?…俺は龍ちゃんの『おにいちゃん』だから」
「………」
お兄ちゃんは優しすぎるんだ
でもその優しさは私にはちょっとしか向けられない
私じゃ駄目なんだ
いつも『龍ちゃん』がいる
でも、でもねお兄ちゃん…私のお兄ちゃんでもあるんだよ?
気付いてよ…私は此所にいるよ?
いつかちゃんとお兄ちゃんに見てもらえる女の子になるから…
◇
「あんな奴が…お兄ちゃんの弟…?!」
「お兄ちゃん?…んぁあ―!兄貴か」
有り得ない
有り得ない
嘘でしょ―…!?
私は目の前の『青龍』をみた
あんな優しいお兄ちゃんの弟が…これぇっ!?
わ、わた、わたた、私はコレに負けた訳!!?
「龍ちゃんは良い子だよ?」
って…本当なのお兄ちゃん?!
…けど、私は今もお兄ちゃんの隣りにいる今は見てくれ無いかもしれないし、あんな奴に負けちゃうかもしれないけど、いつかきっと凄く強くなって…私はお兄ちゃんの隣りにいれる様な女性になる
黒猫にも青龍にも絶対勝って見せる
絶対負けないから!
「あの兄貴を宜しくな。機械のお嬢さん(おちびさん)」
…あれ?一歩前進したようです




