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俺様ヒーロー  作者: 真山羊野
登場人物設定、裏話
43/45

MISSION5.5 ナビゲートナビゲーター


「鴇為、この前の資料どこにやったん?みあたらへんで…?」


「ちゃんと俺は渡しましたが?お前が乱雑に扱うからでしょう」


「微妙な敬語やめてぇな。初だ……アイツみたいやん」


「…そう言うお前は虎壱似でしょうね」


ふわふわした印象を持つ青年は溜め息をついた

全く…何年やっても口であの青年には勝てる気がしない


仕方無く自分の机の引き出しから分厚いファイルを引き出してページを捲り始めた


「…全く。これを印刷してきなさい」


するとドサッと紙の束が夢吉の前に落とされた


「鴇為…っ!おおきになっ!」


「それをなくさないでくださいよ。駄目吉」


「なんぼでも言ったらええ。でも感謝しとるで!」


紙の束を抱えて笑いながら走り去って行く彼を見送りながら鴇為は自分のデスクに戻った


画面を見ながら文章を打ち込んでいく

キーボードなんか一度も見ずに軽快に動く指はあっという間に一ページを書き上げた


(…そういえば、彼はまだ担当がありませんでしたね…)


ふと思ったのは疲れからかもしれない


(やっぱり初代と二代目が…)


夢吉は元々歴代ヒーローのブルーを担当していた

この部隊に移転してからも初代と二代目を担当していたが…

気になったのは絶対に疲れたからだ


(いや、いい。考えていたら仕事が遅れますね)


頭を振って鴇為は考えを頭から追い出した

パソコンに向かってまた報告書を書き始めるとコトリと音がしてマグカップが置かれた


「…お前ですか」


「珈琲や。御礼。ほんま助かったわ!」


「…頼みましたか?」


「頼まれてへんけど、ずっと難しい顔しとったら治らん様になるで?ほら、眉間にしわ!」


夢吉は鴇為の眉間に触れた

…そんな顔してただろうか?


「何かあったら言いや。こっちの方がベテランなんやし」


無邪気に笑う夢吉をみて鴇為はさっきまでの考えを打ち消した


(そんなことありませんね。彼は彼なりに強いのですから。本当に辛い時は…)


「…鴇為?どないした?」


「…いえ。ところで、仕事は?駄目吉さん…?」


「あ」


「…………………」


無言の視線で説教を始める鴇為から逃げる様にして夢吉は自分のデスクに戻った

鴇為は溜め息を吐いて彼のデスクを見るとパソコンの前に青いケータイが置かれていた


「あれは…」


夢吉のパソコンの画面に映っていたのは一人の青年

まるで不機嫌だとでも言う様な仏頂面をしてカメラを睨み付けて(実際はそんなことはなく只ボーッとしていただけ)いる写真だった

上には青ヶ島 龍太郎という名前ともう一つ


『×××ヒーローブルー××××』



遠くて見えなかったがその後名乗られなかったヒーローネームが表示されていた

それを夢吉は嬉しそうな顔で見る


(…全く。世話の掛かる)


鴇為はそれを見て少し苦笑してパソコンに向かい直した


(彼にはいいパートナーが出来る様ですね)


夢吉はきっと辛くても笑って「大丈夫や!」なんて言いながら強くなっていく

けれどどうしても辛い時はきっと…きっと自分を頼ってくれると信じているから


鴇為はいつもどおりの言葉を言うために口を開く


「はやく仕事しなさい駄目吉!」


「急かさんといてぇな…」


夢吉は呟きながらも画面の写真を消してファイルを開く


いつもどおりがまた始まった



(…もしも君が迷ったら、ちゃんと出口まで案内しましょう。ですから今は自分のやりたい事をやりなさい)



声に出しては言えないけれど

それぐらいはしてあげます

それが案内人(ナビゲーション)の仕事


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