MISSION10.5 恋文譲渡大作戦…?
「あああムカつくムカつくムカつくわ!」
私は灰の山を木の枝で叩く
かつては疎ましかった手紙の山も今では真っ黒な灰でしかない
「私は言えてないのよっ?!」
それを軽々しく言うなんてムカつくわ!
「おーはっ桃ちゃん!」
「あら、風花。おはよう」
「………ねぇ桃ちゃん」
「なにかしら」
「いくらムカつくからって学校で燃やすの…止めない?」
「!」
風花は私の後ろの灰の山を見ていた
私は慌てて言い訳をする
「ど、どうして私がムカつかないといけないの!!?」
「だって、虎君好きなんでしょ?」
その台詞を聞いた瞬間私の中の何かが弾けとんだ気がした
「ななななななんでわたわた私がッああああいつをす、すすすきぃっ?!にならないといけないのよっ!」
「顔赤いよ?」
「あああか、赤くないわっ!」
髪を直すふりをしてコッソリ手鏡で盗み見る
そして鮮やかな真っ赤に染まった自分の頬を見て絶句した
なんで?なんでなんでなんで?
私が?何で私が?
「ねーねー、桃子は虎君が好きなんだったらお互い頑張ろうねっ!」
……お互い?
「うん!私ちょっと玄君が気になってて…。ねっ?お互い頑張ろっ!」
「ま、まって!貴方黒河玄輝が好きなの…?」
「うん」
風花は当たり前と言う顔をする
「そ、そもそも…好きなんてどうやったらわかる訳よ」
「そうだね―。例えば目が合うとドキッてしない?」
う…不覚にも心当たりがあるわね。でもそれはたまたまよ!
「あとは誰かと話してるとイラッとする」
するわ…ね…。相手が嫌いな奴だっただけよ!
「笑顔にキュンと来る!」
く、くるわよ!悪かったわね!可愛いものが好きなだけよ!
「スペシャル心不全!」
教科書には乗ってない?
「それが恋でしょ?」
う、う…うう…
「嘘でしょーーーーッッッッッ!!!!!!!?」
◇
「さてさて、恋愛初心者の桃ちゃんにはこの私が教えてしんぜよーっ!私こうみえても恋愛の伝道師と呼ばれていて縁を結んであげたカップルは数知れず!何でも聞いてねー!」
「……わかったわ…」
何でこんな事になったのかしら
嗚呼もう、全部虎のせいよ!
「ではまずステップワン!相手の好きなとこを自覚してみよう!」
「好きなところ…?…って私は虎のことは…」
「はいはい。良いからあげて見て!言い辛かったら悪いとこも一緒にあげてみる?」
「悪いところ…?…いつも龍にパシられてる。鈍感。鈍い。半ばKY。叫ぶ」
「あ、あれ…?」
「ハートが弱い。妙にずれてる。率直すぎ。むしろ馬鹿。成績悪い。運悪い。鈍感。鈍感鈍感鈍感鈍感鈍感……」
「ストップ―!うん!途中から鈍感しか言ってないよ!…良いとこは…?」
「ないわね」
「そんなバッサリ!」
ないんだから仕方ないじゃないの
っていうか私は好きとかそんなんじゃない…訳じゃないけど…
大体、私好きになった子とか気になる子とか信頼してる子とか苛めたくなっちゃうタチだからどうしたら良いかわからないのよ
やっぱり苦痛にゆがむ顔が可愛いくて仕方ないんだもの。…まあ変わってるとは自覚してるわ。でも止められないのよ…
その点じゃ時雨は良いカモね。従順過ぎるのはツマらないけど
嗚呼それなら虎も……
「止めてあげてぇえぇぇぇえぇえぇ!!!!!」
「どうしたの風花」
「なんか、すっごい禍々しいオーラ感じたよ?!」
「気のせいよ。気のせい。さ、続けて良いわよ」
「…あ、うん…。じゃあステップツー!ラブレターを書こう!」
「早過ぎるわよ!」
「早くないよ―。それにまだ匿名でいくから大丈夫だって」
ラブレターってそう言うものだったかしら…
「ではまず便箋!今回は桃ちゃんに合わせてピンクでハートで天使の羽の可愛らしいこの便箋で思いをしたためてみましょう!」
「…困ったわね。私書いた事ないのよ…」
「うーん…無難に『貴方を思うといつも胸がドキドキして眠れません! 私は貴方が大好きです!』とかでいいんじゃない?」
「えっと…『貴方を思うといつも(苛めたくて)胸がドキドキして眠れません! 私は貴方(の泣き顔)が大好きです!』で良いのね?」
「はいアウトーッ!」
「駄目なの?」
風花は何故だか顔を真っ青にして首を振る
「いやいや、ニュアンスか違い過ぎるよ。何かそれ脅迫文だよ?!」
「……出来はよかったのに…。わかったわ書き直すわよ」
「その方がいいよ…」
◇
それから一時間後
「書けたわよ」
「お疲れ様…。もはやラブレターじゃない気もするけど…。取りあえず今日はそれ靴箱に突っ込んでおこうか」
「そうね」
私と風花は虎の靴箱まで行く
まだ靴が残ってるから帰ってないのね
「いれるわよ…!」
「うん…!」
辺りに注意を払いつつ靴箱にそっと手紙を入れる
そして……
「「終わった―!!!」」
風花と手を取り合いながら飛び跳ねる
でも階段上から虎と龍の話し声が聞こえたので私達は慌てて帰ってしまった
…結局あの手紙の行方は知らないのだけど、私は絶対豹真になんか負けないんだから!
次は自分から言えるようになるの
…これが恋ならなんだけど…
◇
「あれ?手紙だ」
「ん?お…虎壱にも春がきたか?」
下校時間、靴箱を開けたら可愛い便箋が落ちて来た
興味津津に龍太郎が隣りから覗く
「読んでみろ」
「うん!えーっと…『はじめまして。いきなりでゴメンナサイ 私は貴方の事をずっとずっと見てました! でも面と向かって言えそうにないのでお手紙を書かせていただきます』」
「お、これはこの展開は!」
「『私は貴方が』……え」
俺は続きを読もうとして絶句する
龍太郎もその先を見て表情をこわ張らせた
「『私は貴方が大好きです。いつも苛めたくて夜も寝られません!(*_*) 貴方の泣き顔にDoki×2しちゃうんです{{ (>_<) }} この思いを貴方に届けたくてお手紙を書きました!o(^-^o) いつか私のい・ぬ[?]になってください!(*>人<*)[?] 匿名希望より[?]』」
「色々と違う!」
「にゃああぁぁぁあぁあ!こわっ!怖いよ―!」
「恋人じゃねぇんだ?!犬なんだ?!」
俺は龍太郎にへばり付く
校内きってのヤンキーとは自覚してるけどやっぱり怖い!!!!
「龍太郎助けて――!!!」
「だが断る」
「にゃ!?」
そんな…
最強に見放されたら…
俺どうするの?!
嫌だぁあぁあ!!!怖いよーーー!!!!
◇
俺は取り乱した虎壱が落とした手紙を拾いあげて気付く
「……あれ、この筆跡…桃子じゃね…?」
…え?桃子…まさか虎壱好きなのか……?
Fin...?




