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俺様ヒーロー  作者: 真山羊野
本編
10/45

MISSION10 バイクヒーロー


「みっなさーん!お知らせなんだぞっ!」


「うぉっ…稲穂!?」


授業が終わって放課後

帰宅部の俺達はそろってヒーロー本部に向かおうとしていた…がその必要は無かったらしいな


「いやー…君達を待ちきれなくて来てしまったのだよ」


校門前で鈴のナビゲーション、稲穂が待っていた


「どうしたの?稲穂」


「ふふふ…なんとなんとぉっ!新兵器がとうとう完成したのだよ!」


「とうとうキターッ!マジで!」


虎壱が眼を輝かせる

烈火も嬉しそうな顔をした


「本部にあるから急いで急いで!」


「でも、本部入口まで一時間はかかるわよ?」


「あー…それならねぇ」


そう言って稲穂は校舎の裏の裏山に向かう

少し上った人目の付かないところで稲穂は岩を指差した


「携帯かざしてみてよ」


「………む」


とりあえず全員…嗚呼、会話に無参加だけど玄輝もいる。話したら吐血するから風花が止めた…が携帯をとりだしてかざしてみる


《コード確認 承認シマシタ》


すると岩が動いてポッカリと穴が開いた


「遠かったので出入り口つくっちゃいました」


「近ッ!?」


「はーい。じゃあ飛び込んで―」


そう言いながら稲穂が俺を突き落とした


「うわっ!」


「にゃいっ!」


「あわわわわ」


「…き、気分悪くなっ…」


「吐血しないでぇ!」


「きゃっ!」


「やっほぉー」


「ほいっと」


結局飛び込んだのは鈴と稲穂

俺達はアリスの如く暗い穴を落ちて行った


◇


「よっ…」


それでも流石は俺、地面の着地は完璧……


「にゃああぁぁぁあぁあ」


「うぐっ……!!?」


………と思ったら真上から落ちて来た虎壱に激突されて潰された


しかもその上から次々に落ちて来る

どうやら普通のゲートみたいな親切設計じゃないらしい


「ぐっ……………重いわオイッ!!!!!!!」


全員に潰されて俺がもがいていると奥から慌ただしい足音が聞こえた


「龍太郎!」


「よ…よく来た夢吉…助けろ!」


「ウチ?!…しゃーない…よーいしょ、えーっしょ、どーこいしょ、どーしましょっ」


おかしな掛け声だけど夢吉に俺は引きずり出される

それから夢吉は気絶した他の面々を起こしにかかった


「起きいやー、バイク見れへんで―、おーい、起きろって言っとんの」


「「バイク?!」」


その言葉に嬉しそうに飛び起きたのは虎壱と烈火だった


「キターッ!バイクってあれだよね、仮●ラ●ダーが乗る奴だよね!ゲームでかっこよく乗りこなすアレだよね!」


一段と饒舌だな烈火…

目をキラキラさせながら烈火は虎壱とはしゃぎ回る


ようやく他のメンツも起きて夢吉と稲穂がいった


「先ずは変身―。今回はバイクに乗るからライダースーツを着て見ますか」


「「「「「はーい」」」」」


俺達が返事をすると稲穂はそれぞれのカラーの鍵を配った


「それはバイクのキーや。なくさんといてな。あと、それを撮影するかバイク自体を撮影するとライダースーツになるで」


ライダースーツかぁ…

つぅか交通法無視し過ぎだよな


「まぁ…とりあえず…」


変☆身



「……っと。おー!ライダースーツだ」


「でもなんか派手だねぇ」


風神が皆を見渡しながらつぶやく

確かに俺達のテーマカラーは玄武を抜いて『派手』だ


青赤黄緑桃黒白


普段の服からしてもなんだか目立つ


「まぁまぁ…。それより、早速倉庫にレッツゴー!」


稲穂の後に付いてゾロゾロ移動する


だだっ広い飛行機の倉庫みたいな場所にポツーンと七台のバイクが置いてあった

その隣りにそれぞれのナビゲーションが立っている


「十嶋さん!」


「おう、龍太郎!ライダースーツ似合ってるじゃねえか。…なんか烈火…妙に似合いすぎて怖いな…」


「もう朱雀だよ。としま」


「とっじっまぁっ!!!!!」


「すごいやろ?ウチらだけで作ったんやで―」


ウチらだけ?


「嗚呼、技術班の…ってことや」


技術班はお前と稲穂だけだよな?二人でよく作れたなぁ…天才にも程があるぞ


「二人だけじゃないよ?」


「え?」


稲穂は倉庫の別の入口までは走って行った


「紹介しまーす。私の相方、逢茶さんですっ」


「初めまして。技術班班長、逢茶です」


扉の向こうにいたのは眼鏡を掛けた綺麗な人だった

イメージは…頭が良さそう辺りが妥当だな


「あれ?稲穂相方居たんだね」


「そうとも鈴君!…じゃない麒麟君っ!流石にバイク七台を二人で作るのは時間的に無理があったからね」


三人なら出来るのも凄いがな…


俺は改めてバイクを見た


車体は白を中心に水色でアクセントがついている

その上から青い龍と『Bule Dragon』のペイントが入っていた


結構カッコいい


他の皆もそれぞれに合わせたペイントが入ってるみたいだな


「うわぁスッゲー!虎虎!」


白虎のは皆と違い黒基調だった

まぁ白いしな


「じゃあ乗ってみてください。操作は簡単に説明します」


俺達は頷くとそれぞれのバイクに跨がった


◇


三十分後―…


「いやっほ―!」


広い倉庫内でガンガンバイクを乗り回しているのは俺と白虎それから意外にも鳳凰だった


風神や麒麟は平々凡々

…問題は…


「あぅ…よ、酔った…」


「うううう…僕も…」


朱雀と玄武が完全にダウンしていた

朱雀は慣れないものは酔いやすいらしい

玄武は論外だが


「しゃあないな…。青龍!白虎!ちょっとこっち来いや―」


俺達が側に行くと夢吉はその横に朱雀達のバイクを並べる


「よいしょっと…。取りあえず今はこれでええね」


バイクはフォルムを変えて小さめの乗り物になる


「これは一緒に走る為のものなんけどな、今は説明してる暇あらんから今日は二人の後ろに乗せてもらい―」


「今日は?」


俺が首を傾げると同時に倉庫の中心に巨大モニターが現れた

無駄に金かかってんなぁオイ?!


「はいはい皆さん!これをご覧ください。丁度良くスピードの無駄に速い悪者がいますね?」


何ソレめっちゃ好都合過ぎないか…?


「更に青龍のお兄さんや闇兎達もバイクに乗って無駄に速い悪者を必死に追ってますね?」


何ソレめっちゃ好都合!


「本当、好都合なのであの悪者をやっつけて来て下さい。習うより慣れろですよ」


逢茶が笑って手に持ったスイッチをポチッと押す


「ではいってらっしゃーい」


その合図と同時に俺達は飛び出して…




「っしゃあ!!!さぁ、私についてきなさい!!!!」




…鳳凰がとんでもないスピードで飛び出して行った


「…………ほ、うおうちゃん…?」


白虎が唖然としたまま鳳凰の去った方に手を伸ばす


惚けていても仕方無いので白虎の肩を叩くと俺はバイクに跨がった


「あ―…じゃあ俺朱雀連れてくわ。白虎、玄武よろしく」


朱雀が俺の後ろに座って腰に手を回してシッカリとしがみついた


「ゴーグルしてんな朱雀?」


「え?嗚呼、してるよ」


「とばすぞ」


「え……?」


俺はエンジンを掛ける


「落ちんなよー」



交通法を無視した速度で俺は走り出す


よいこの皆―!交通法はきっちり守りましょう!






……ヒーローは論外だけどな


◇


「うぅうわぁぁあぁああぁぁ!!!!!」


五月蠅いなぁ朱雀、耳元で叫ばれると運転ミスりそうなんだが


「き、気分また…悪くなって…」


「にゃあああ!俺につかまったまま吐血するなよ!」


「大変…だね」


「ねぇー…」


突っ走った桃子を先頭に俺達は悪者を探す

女王様は完全に勘でカッ飛ばしてるらしく何時曲がるか分からないから結構ヒヤヒヤする


「あ、あそこ!あの黒いバイク…にあの髪色はお兄さんでしょ?」


「あー…うん。見つけたくなかったな…。朱雀、生きてるか?」


「うん…なんとか…」


「じゃあ掴まってろよ」


「へ?」


俺はアクセルを思いっ切り踏んだ


「いやだぁあぁあぁあぁぁぁ!!!!」


絶叫する朱雀をよそに桃子を追い抜いてピッタリと兄貴の横についた


「よう、兄貴」


「うわっ青ちゃん?!…と朱くん?」


兄貴は珍しく肩まである髪をゴムで縛っていた


「………」


「な、なぁに青ちゃん…?前向かないと危ないよ…」


「…朱雀」


「俺っ?!」


「バイク乗りながら敵ってどう倒すわけ?」


「……片手はなすとか」


「まだ出来ない」


「青ちゃん…。俺隣りにいるから。悪者隣りにいるから。その横でそーゆー相談はしちゃダメでしょ…」


「その道のプロに聞いてみたら?」


「心外だが…仕方無いな。兄貴」


「何?」


「「どーすんの?」」


「それ普通聞く?!…まぁ…うーん…。降りたら?バイク…」


突っ込みつつも答える辺りが兄貴だよな


「ああー!!!」


「良いのこんなんで!?」


さっきから平行に走ってるばかりで一向に戦う気配のない俺に夢吉が言った


《戦わんのやったら取りあえず一番前の速い奴倒してぇな》


「それがさぁ―…見当たんねぇの。闇兎もいないし」


「闇兎?闇兎なら先だよ。豹真も先に行っちゃって…」


置いてきぼり食らったのかよ…


「だから正直戦う気失せたんだけど」


「投げやりだな」


《…それはこっちにとって万々歳なんやけどせめて闇兎追ってくれへん?》


「兄貴、闇兎どこ?」


「だから置いてかれたんだよ俺…」


なんだよ協調性ないなぁ


「闇兎の部下じゃないもん俺」


「マジ?」


「総帥の部下…狼々と同じ部隊なんだよ。地位的には総帥と闇兎は同じ。東は闇兎の部下だよ」


「なんだソレ…?」


「俺達は首領の下に七つの部隊があってそのリーダーを総帥って言うんだよ。まぁうちのリーダーはそのまんまの名前だけど…。その下に俺や東みたいな幹部、全身タイツの幹部、全身タイツ、下働き、清掃員の順にいる訳」


「って、青龍のお兄さんって見た目によらずNo.3?!」


そういやぁ話からしたらそうだよな

地味に偉くね?


「…。あのさ…俺だって一応プライドとかあるんだからね青ちゃん、朱くん…」


器用にバイクを動かし俺達に車体の横を向ける形で兄貴は止まった


「すげぇ!俺もやりたい!」


酔いも引いて来たのか朱雀も目を輝かせてはしゃぐ

武器からしてゴツい機械とか好きだよなお前


「敵としてじゃなかったらね。いいよ。…青ちゃん」


「なんだ?馬鹿兄貴」


「もー俺帰るから闇兎見つけたら帰ったって伝えて。どうせ今日はこれのテストで指令じゃないし」


そう言いながら黒いバイクをペチペチ叩く

良くみると黒い車体に光の加減で金の月と銀の龍が現れる様になっている


龍と夜だからか


「面倒くせ―よ…」


「お願いっ!…大体、豹真…あの無茶苦茶速い奴ね…に追いつけるバイクなんてあっちの技術じゃ無理だっつーの」


「そんなに速いのか?」


「まぁね。だから追いつけないんだけど。…でも何処に居るかは判るよ。地面に足跡ついてるから。ソレを探してたどればいるよ」


オイオイ兄貴、仮初にも敵に教えていい訳?

怒られても知らねーよ?


「俺は…首領を止める為なら何でもするさ。じゃあね青ちゃん、次は電話!頂戴ね」


ウインクをするとバイクに乗って兄貴は行ってしまった


「電話?」


朱雀の問いには答えず俺は皮の手袋の下、手の甲を睨み付ける

いつの間に書いたんだか御丁寧に携帯番号とメアド、更にはコメントが綺麗な文字で書かれていた


『俺のアドだよ。登録ヨロシクッ』


「…………ッ〜!!!!」


誰が登録するか阿呆ッ!

フン、消してやるッ


………あっれ…落ちない…


え、ちょ、マジで落ちない!


「あの馬鹿兄貴ィ!!!油性で書きおってぇっ!!!クタバレクソ兄ッ!!」


「せ、青龍…?」


「夢吉ィッ!」


《な、なんや…?》


「さっきの話は聞いていたなッ?!聞いてたろ?!聞いたよな?!聞いたと言え!拒否権はないぞ嫌とは言わせん!!」


「ちょ…ソレ狼々…」


《あうええっ…聞いとったけど…》


「今すぐ探せっ!」


《んな無茶なぁ…》


「探せぇえぇえぇっ!」


《判ったから…なんや、青龍不機嫌やな》


「あの馬鹿兄貴を殴らないとスッキリしねえんだよ。…クッソ…逃げやがって…」


《………。あ、おったで!そっから先二つ目の信号を右、で先をまっすぐや》


俺は頷く


あ、悪い無視してたけど烈火


「なに?」


「そろそろ一人で乗れるか?」


「勿論。慣れたぜ!…じゃあ」


「「行きますか」」


俺達はバイクを飛ばす


《そこを右に曲がりまーすっ》


自分の声の性質を理解しているのか夢吉がガイドの真似をする

直ぐに地面に足跡が現れた


「あら、青龍」


「本当だ!何処行ってたの?」


「…………」


隣りの路地から鳳凰と白虎、それから相変わらず屍状態の玄武が現れた


「ちょっとな」


「大丈夫か?玄武」


「「復活したんだ(のね)」」


「まぁなー。俺もなれたし」


「あのさ朱雀君」


「ん?ふーちゃん何?」


「この足跡ってなに?」


「あー…。それはね」


朱雀が風神に同じ説明を繰り返した

その間に俺も白虎から現在の状況を聞く


「今は変な足跡見つけて辿ってるところ。取りあえずこのまま進めってナビゲーションから言われたけど?」


「どうやらソイツ、豹真っつうらしい。闇兎も居るらしいぞ」


「ふーん…。あれ?」


不意に白虎が変な声を上げる


「足跡が無くなったわね…」


「ホントだ。どーしよっか鳳凰ちゃん?」


「そうねぇ…」


取りあえず鳳凰がバイクを止めたので俺達もそれにならう


「時雨!もう一度探しな……」


「ちょ、待てと言っているだろうが!」


「……さい…?」


「あ、闇兎」


「青龍!あーもーこの際敵でも見方でも構わん!そいつを掴まえてくれ!」


闇兎の声と同時に俺達のバイクの間を派手な物体が通過した


「!?」


「だぁあぁ―!!!命令を無視するなよバカァッ!」


その後ろを黒バイクに乗った闇兎が追いかける

だが俺達の間は通り抜けできないらしく急ブレーキをかけて止まった


「おぉ…どうしたよお前」


「知るかっ!それは俺が聞きたいな!ヤロー協調性皆無だし。の癖に足の速さは一番だし…。捕まえてくれよ、バイクなんだろ?」


「それが目的だから…。いーけどさぁ」


虎壱が呆れながら言う

それもそうだよな


とりあえず捕まえりゃあいい訳だろ?

さっさと捕まえようぜ


「だな。それじゃあ…行くぞっ!」


朱雀の合図で全員がバイクに飛び乗って走り出す


豹真との間は直ぐに縮まっていた


「ゲッ…オレに追いつくとかマジ有り得ねぇんだけど。誰だしお前ら」


悪いがこちとら生憎名乗らない主義でね


「ふーん…。まぁでもさっきから攻撃してこねぇとか、バイク乗るの初めてとか?」


う、鋭いな


「ハッ、マジザマァwwそれじゃあ意味ねえっしょ!」


「あ―…これが出来るんだなぁ…」


不意に一番後ろにいた白虎が言った


「え…?」


「まぁ、一騎打ちとか良くない?」


スピードを上げて豹真の真ん前に滑り込む


「うっそ、オレを抜かせるとか…。お前何もんだし」


「君が勝ったら教えるよ」


白虎は腰を浮かせて立ち上がる

それから器用に豹真の前を維持しながら腰の携帯を取り出した


「転送、竹刀っと」


「お前いつの間にそんな事出来たんだ…」


「にゃ?俺バイクの免許持ってるけど?あの時途中から送り迎えバイクだったじゃん」


キレイサッパリ記憶から抹消してたな


「……。ですよねー…」


「あの時…?」


不思議な顔の仲間達を俺と白虎は笑顔で流す


「じゃあ白虎に任せるから俺達は闇……」


「白虎?!」


いきなり豹真が急ブレーキをかけて止まった

俺達も慌てて止まる


豹真は唖然とした顔で白虎を見たままだ


「お、お前虎なのか?」


「あ、うん。まぁ…」


「本当だよなぁ?マジ虎とか?」


「マジマジ。俺は白虎だから虎」


白虎が頷くと同時に豹真は素晴らしい速さで近付いて白虎の手を取った


「好き!!!!!!」


「はぁあぁっ???!!」


まさかの展開に白虎がバイクからずり落ちる

後ろでミシリという音がして振り替えると鳳凰様が何時にもまして麗しい笑顔で背景に鳳凰を召喚されていた


「マジやべぇよ!虎なんだよなお前!うん、俺お前好きだ!」


「え?はぁっ?!」


「オイコラ猫科!!!!なに白虎に色目使ってんのかしら、でしゃばらないでいただきたくてよ!」


「鳥の癖に何言っちゃってんの?マジありえねー」


「マジマジ五月蠅いわね。上品さは無いのかしら?白虎、なに気後れなさっていてよ。さっさと倒してくれないかしら?目障りだわ」


「にゃ!?あ、うん……」


「ハハッやっぱ頼まないとダメとか!俺マジつえーからな」


「あぁら?!良いわよ私が倒してさしあげても?!まぁ、私は雑魚なんかで手を汚したくないの」


「雑魚ッ!?オレ嘗めんなよ!」


「当たり前の事じゃない猫さん?いいわ、倒してあげるわよ」


「上等!」


「ここまで反抗的な猫は調教し甲斐があるわねぇ……ッッッッッ!!!!!!!」


うふふふふふふと真っ黒な笑顔のまま鳳凰が武器のトランプを鞭にかえる

さらにピンクでスリムなライダースーツが黒のドレスコートに変化した


女王様が御光臨なされた


全員がボソリと呟く


「さーぁ、どうしようかしら…?」


お美しい笑顔で言う鳳凰に豹真も好戦的な顔を向ける

俺達は取りあえず野生の勘で離れたところに逃げた

残念なことに逃げそびれてしまった白虎は二人に挟まれてオロオロしている


「ふふっ…さぁ、何処からでも来てよくってよ」


「ざーんねん、オレは正面から行くより……逃げる派なんだけどッ、マジ乙!」


「逃がすと思って?」


鳳凰様の鞭が豹真の足に絡み付く

案の定、いきなり引っ張られた豹真は前のめりで倒れ込んだ


「逃がす訳ないでしょう……?」


いつぞやの俺のごとく豹真の背中に思いっ切り足を叩き付ける…もとい乗せた

足の下からの悲痛な叫びに笑顔で答えながら鳳凰(女王)様は更に足に力を入れる


無論、俺はハイヒールなんてはいて踏まなかったけどな


傍観者やってるけど痛そ―

ま、助けないが


「鳳凰―、足もーちょい右右」


「こうかしら?」


「で、下」


「にぎゃあぁあぁ!?ちょっ…ぎぶぎぶ」


足の下で豹真がジタバタと暴れる

そして……動かなくなった


「豹真ぁあぁあ!?」


流石に闇兎が駆け寄って揺さぶる

まぁ、起きる訳もないんだが


「止めるの意味が違う!息の根を止めてどうする気だよ!」


「あら?違ったの?」


悪びれもせず言う鳳凰に闇兎は溜め息をついた


「違うも何も…。はぁ、いいよコイツ回収出来たし…。悪かったな。じゃあ俺達帰るから…」


バイクの後ろに豹真を乗せると闇兎は猛スピードで走って行った

その後ろ姿を眺めながら白虎が言う


「んにしても何で俺告られたんだ?」


「猫とか言ってたよな?」


朱雀が今回台詞が恐ろしい程無い玄武を抱えながら言った


断っておくが白虎が一対一と言っていた時には玄武の身を案じた朱雀が自分の後ろに乗せていたからな?


酔って事切れてる訳じゃねぇぞ


「知らないわよそんなこと…!」


鳳凰がヒステリックに叫んだ

心なしか目茶苦茶イライラしていらっしゃるな?


「ふふふふっ…あのクソ猫…また顔だしたら承知しなくてよっ………!!!」


どうした鳳凰


「な、んでも、なくって!?うふ、ふふふふっ………!!」


笑顔だが怒りを押さえ込んでいる感じだ

そのままバイクに飛び乗って機体が軋むぐらい全力疾走されたもんだから俺達はその後を再び必死になって追うはめになった




ホント、女って訳わかんねぇ


◇


後日談をするならばもしかしたらこればかりは俺視点より虎壱の方がさぞかしスリリングで良かったかもな?


あれ以来虎壱ん所に黒猫の宅急便ならぬ黒猫の郵便やさんが現れては豹真からの『ラブレター(笑)』を届けるからアイツは暫くの間黒猫にびくつきながら過ごして居る事になった


桃子は一見大人な対応だが…あ、そういやぁ先日裏庭で手紙を燃してるとこを見たな


スッゲェ暗い顔で笑ってた



そんなところだが…。マジで桃子どうしたんだ?

猫アレルギーでもあるのか?


俺のわからない事もあるんだな




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