第2話
その日の放課後、私は帰る準備をしていると三谷君に呼ばれた。
まさかとは思うけれど…。朝、悪魔が言っていた話しを思い出す。今日一日妙に三谷君とは目が合うなとは思っていたけれど本当に呼び出されるなんて…。
「園宮、あのな…」
冗談だよね。焦る私を差し置いて三谷君は恥ずかしそうに目を逸らしながら私に言った。
「好きだ、付き合ってくれ」
決心したかのように目を見て言ったそのさまは悪魔のおかげであって、私の事が好きという訳ではない。だけどここで逃げたら前と変わらないんだ。せっかく悪魔が願い事を叶えてくれたんだもん。前に進まないと。
「わっ…私も好きだよ…」
絞り出すような声で気持ちを伝える。心臓がバクバクと鳴っているのを感じる。
「本当?じゃぁ…付き合おう」
「うん!」
それから私は三谷君と一緒に手を繋いで帰った。初めて握る三谷君の手は暖かくて男らしくゴツゴツとしていた。なんだか本当に彼女になれたのが夢みたいだ。
「ただいま」
学校から帰った私は真っ先に自分の部屋に向かった。悪魔はいるのかな?ガチャりとドアを開けて中を見渡すと、今朝見た悪魔が部屋を散策していた。
「えと…悪魔…さん?」
「あぁ、お帰り」
いや、そんな普通に言われても…。なんで部屋を散策してるんですか?
「どうだった?」
その問は恐らく三谷君との事なんだろう。私は思わず帰り道の事を思い出して顔
が熱くなるのを感じた。
「その様子だとうまくいったんだね」
「はい…まぁ、お陰様で…」
「そうかい、そうかい。よかったね。じゃぁ彩香また会うときまで」
上機嫌な悪魔はそういって魔法陣の上に立った。え、もう帰るの?なら聞いておかないと…!
「そ、その魔法陣って…どうすればいいですか?」
「え?あぁ、捨ててくれて構わないよ。こんなのはあってもなくても変わらないから」
じゃぁ今も魔法陣の上に乗らなくたっていいんじゃないの?というか、悪魔ってどこに住んでるんだろう?魔界なのかな?
「ねぇ彩香」
「え、はい?」
「契約、忘れちゃダメだよ」
契約?なんだっけ。思い返そうと考え込んでいると悪魔はもう姿を消していた。
確か…死んでから悪魔のモノになるって言ってた気がする。でも…死ぬって言ってもまだまだ私は中学生だし、大丈夫だよね。
「彩香、三谷君って子から電話が来てるわよー」
母の呼び声にハッとして急いでドアを開けた。とりあえず今はこの状況を楽しみたい。せっかくの機会なんだもん。
「もしもし、三谷君?」
「あ、園宮さん?あのね、今週の日曜日なんだけど…」
受話器を持つ手に力がこもる。デートの約束ということでウキウキとした私は知らないうちに電話線をいじっていた。
「じゃぁ、また学校でね」
「うん、バイバイ」
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