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なるほど、だから覇王ドルゲードは唯一の催眠術の術者として君臨することができるのか。
「ところで覇王に乗っ取られた宋白さんはどうします?」
「どうすると言うと?」
ボクの言葉に李老師が問い返す。
「催眠術を解いてもいいけど、その後どうするか決めてありますか?」
ボクが答えると一同で意見を交換し始めたが、しばらくたってもいっこうに結論がでそうもない。
「分離してから覇王だけ封印するっていうのはどうだろう?」
李老師がボクに訊く。
「分離するように誘導するってことですか? さっきの催眠術で誘導するのは可能ですけど……」
ボクがそう言うと李老師が頷く。
「じゃあ、それでお願いできないか」
「ただね、この場には覇王の身体が存在してないのに分離ってできるんですかね?」
ボクの言葉に周老師はそっと呟く。
「例えばなんだが⋯⋯。いや、そうじゃない。覇王を復活させる呪文を発見したんだ。それを試したい⋯⋯」
え、この人何言ってんだ?
覇王は既に復活しているのに⋯⋯。
「周老師、おっしゃっていることがよくわからないのですが⋯⋯」
周老師の言葉にボクは戸惑う。
「いや、だから⋯⋯、一度そこで封印してほしいんだよ」
よくわからない⋯⋯。
「復活させる呪文があるなら封印する呪文もあるんじゃないんですか?」
ボクは周老師に訊くが周老師は首を横に振るばかり。
『女竜さん、覇王を封印する呪文ってあるの?』
ボクの問いに女竜は答える。
『話は全部聞いたが復活の呪文はやめた方がいい。お前が大切な人が唱えるなら、なおさらだ⋯⋯。ああ、それから封印の呪文なんてないぞ。覇王の能力者を殺せばそれで終わる。あたしの波動で一瞬だよ。できるだろ』
おいおい、宋白は宋麗と宋清の親父さんだぞ。できるわけねえ。
ボクが黙っていると女竜が切り出す。
『この覇王の能力者はすでに死んでいる。身体だけが残っているんだよ。殺してあげるのも優しさだぞ』
それしかない⋯⋯。
そんなことはわかっている。
わかっているけど⋯⋯。
「封印の呪文かどうかはわかりませんが⋯⋯」
ボクは周老師に切り出す。
「やってみます。明日、ここでお待ちしております。復活の呪文の準備をしてお越しください。それから、万が一のことがありますので⋯⋯」
ボクは宋麗を見つめる。
「わかりました。僕と麗ちゃんは明日はお留守番しておくよ」
察してくれたか、宋清⋯⋯。
「ヤダよ。私もくるよ。だって周兄と私は二人で一人だから⋯⋯」
「麗ちゃん、お父さんがどこにいるかわかる?」
ボクの言葉に宋麗は首を横に振る。
「わかったよ、麗ちゃん。でも、呪文を唱えている最中は何が起こるか分からないから外で待ってて」
ボクの言葉に宋麗は頷く。
「じゃあ、封印は明日だ。ここはボクと麗ちゃんで守っているから皆さんは明日来てください」
そうか⋯⋯。
麗ちゃんはお父さんでないことを悟っているんだね。
もちろんボクは覇王の封印の方法なんて知らない。
復活の呪文の最中に女竜の波動を魔法陣から放つ。
そう、ボクはクズだ。
生前から周りの人間を言葉巧みに⋯⋯。
もう、思い出すのはやめよう。
どうせクズな思い出しかねえ。




