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魔導士は猫になりたい  作者: 紙絵


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8/9

街歩き

 魔法の練習にも慣れてきた頃、

「リン、今日は街にでも行ってみようか?」

 レイが誘ってきた。

「レイ忙しくないの?」

 魔導士はこの国の重要な仕事だ。忙しいに決まっている。

「たまには息抜きも必要だ」

 マドカの視線が気になるが……リンは嬉しい。

 そんなこんなで、レイとリンは馬車で街へと向かう。

「こんな街初めて!」

 リンは初めての大きな街にはしゃいでいる。

「それは良かった。はぐれないようにしてね?」


 数分後、リンは迷子になっていた。

「レイどこー?」

 お店が沢山あって、気になるアクセサリーに見入っていたら、隣にいたはずのレイがいなくなっていた。

 リンは上から探してみようと、高台への階段を登った。高台は空いていた。

 街を見下ろす。景色はいいが、人が多くてここからレイを探すのは難しいだろう。

「はしゃぎすぎちゃった…」

 反省会をしていると、声をかけられた。

「君一人?」

 男の人が三人、あまり上品な人達とはいえない。というか、盗賊のような服装である。

「いえ、人を待っています」

 リンは咄嗟に嘘をつく。一人だと思われない方がいい気がする。

「ふぅん。でもさっきから誰もいないよね?」

 観察されていたらしい。

「そんなこと……」

「一緒に来てよ。向こうにいいお店があるから」

 男の一人がリンの腕を掴む。腕が太くて力が強い。振りほどくのは無理である。

「離して!」

 リンは魔法でどうにかできないかやってみる。咄嗟に炎が出て、腕を掴んでいた男に燃え移る。

「くそっ! 何すんだ!」

 男は手を離す。その隙に逃げるリン。しかし、小さな炎はすぐに消されてしまう。

 リンはまたすぐに捕まってしまい、手を拘束される。

「口も塞いどくか。魔術でも唱えられたら厄介だ」

 テープで口も塞がれた。これじゃあ魔法が使えないし、助けも呼べない。

 男達はリンを連れて行く、三人がかりではどうにもできない。

「んー!」

 リンは自分が情けなくて涙が泣き出てきた。かまわず男達はリンを引きずっていく。

 迷子になって、魔法も使えなくて……私どこに連れて行かれるの? でもきっと来てくれる!

「うわっ!」

 悲鳴と共に、男が一人宙を舞う。

「なんだ?」

 男達がざわつく。


「お前らみたいな奴らがリンに触れるな」

 レイが恐ろしく冷たい表情でそこに立っていた。

「お前! 何してくれんだ!」

 一人がレイに殴りかかるが、リンが瞬きした瞬間に飛ばされていた。

「くっ!」

 リンが火をつけた男が残された。焦った男はリンの首に腕をまわす。

「こっち来るな! この女が……」

 最後まで言う前に地面にめり込んだ。

「……!」

 一瞬の出来事だった。


 レイはリンに駆け寄ると、口のテープを取った。

「レイ〜」

 リンは半泣きである。

「見つけるのに手間取った。ごめん」

 手の拘束を取る。

「来てくれてありがとう」

「当たり前だ!」

 リンの涙をレイが手で拭う。

「うん……」

「膝が擦りむいてる。私がリンから目を離したから、本当にすまない」

「大丈夫! これくらい自分で治せるから」

 リンは魔法で擦り傷を治した。

「リン、魔法使うの上手くなってるよ」

 レイが褒める。大概リンに甘いレイである。


 従者が遅れてきた。

「あとは任せた」

 レイが命令する。

「は!」

「行こうか」


 レイはリンと手を繋いだ。

「これならはぐれない」

 レイが笑う。

「うん!」

 リンも笑った。

 二人でお店を見るのは楽しかった。ご飯も屋台で沢山食べて、怖かった思いはどこかへ行ってしまった。


 馬車に戻る二人。

「リンにお土産」

 レイが差し出したのは、綺麗な髪飾りだった。銀で出来ている。細かい装飾はとても上品だ。

「さっきリンが見てて、欲しそうだったから。

 これを買っている間にはぐれてしまったんだ。すまない。

 受け取ってくれるかい?」

「ありがとう!」

 リンは髪飾りを受け取る。

 嬉しそうなリンを見て、レイは安心した。

「私も何かお礼したい。レイは何か欲しい物とかあるの? 今はまだ、そんな事できないけど……」

 リンが下を向く。

「何言ってるの? 私の命を救ってくれたのはリンの方だよ。それに、リンが笑っていてくれれば私は幸せだよ」

 そう言うとレイは優しく微笑んだ。

「あ、でもお礼思いついた」

「なに?」

「目を閉じて?」

 リンが目を瞑ると、レイはリンの額に口づけした。

「え…」

 リンは驚きと恥ずかしさで、頭が真っ白だ。

「人間の時にキスするのは初めてだね? まぁオデコだけど」

 レイはニコニコしている。

 リンは自分の顔が赤くなっていくのが分かった。

「どっどうして!」

 どうにか言葉を発する。

「どうしてって、お礼貰いたいなと……ダメだった?」

 レイがリンを覗き込む。

「ダメじゃないけど……」

 レイがリンに対しての行動は、猫としてスキンシップの延長だと思っていた。お礼がキスって、それって!

「それに私はリンの夫になるんだから」

「へ?」

「リンは私の妻になるのは嫌かい?」

「つま?」

 心配そうにリンを見るレイ。

「私はリン意外と一緒になる気はないよ」

「レイ……」

 マイペースなレイはどんどんリンに迫る。

「リンは私が嫌いかい?」

「きっ嫌いなわけない!」

 思わず言葉が出た。

「よかった!」

 そう言うとレイはリンを抱き寄せる。リンは戸惑っている。

「でも結婚はまだちょっと、心の準備が……!」

 猫に懐かれた…

「うん、待つよ」

 何だかすごい話になっている。

 でも、レイにぎゅっとされて、嫌な気持ちにはならないのであった。

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