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魔導士は猫になりたい  作者: 紙絵


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7/30

魔法学園へ

 鏡の中には、真新しいローブに袖を通し、少し緊張した表情の自分が映っていた。

 今日から魔法学園へ通う事になったリン。準備をして歩き出すと、前方から歓喜の声が聞こえた。

「リン様、そのローブよく似合ってます」

「マーサ!」

「学園へ通うのに憧れてましたものね。本当に良かった……。リン様いってらっしゃい」

 マーサは感極まった様子で、リンを送り出す。大袈裟だなあ。と内心思いつつ、リンも嬉しい。

「うん、行ってきます!」

 マーサに手を振って馬車へ乗り込む。学園までそう遠くないのだが、初日は馬車で行くのが慣わしだとマドカが言っていた。


 馬車の中には先約がいた。

「リン、おはよう。今日も可愛いね。ローブ姿は新鮮だ」

「レイ? なんでいるの?」

 そこにはレイが優雅に座っていた。リンはマドカを思い浮かべる。

「私も外に用があるから、リンと一緒に行こうと思ってね」

「本当?」

「まぁ、いいじゃないか」

 レイは手を引いてリンを隣に座らせた。そのまま握った手を離す様子はない。

「レイもこの学園に通ってたんだよね?」

「あぁ。魔法が好きだったから、父上に頼み込んでね」

「レイが通った学園かぁ。楽しみ!」

 リンがたまらず笑う。楽しみで胸が高鳴る。

「私も付いて行きたいが、今日は門までにするよ」


 今日は?


 そんな事を言っている間に、馬車は学園に到着した。

「じゃあ、行ってくる」

「うん。リン忘れ物」

 そう言うと、レイはリンの額にキスをした。

「!」

「行ってらっしゃい」

 何事もなかったような顔でレイが手を振る。

「……行ってきます」

 レイは本当に心臓に悪い。


 学園は貫禄のある、重厚感のある建物だ。さすが、名門である。大きな門から中へ入ると、芝生が一面に広がり、奥には森が見える。

 校舎の中は吹き抜けになっている。大きなステンドグラスが反射して、フロアを色とりどりに染めている。

 リンは、入学してきたであろう生徒達の群れに付いて歩いた。すると壁に名簿が貼られていた。自分の名前を見つけ、教室へ入り後ろの空いている席に座る。ここだと教室全体が見渡せる。しばらくすると、先生らしき男性が入ってきた。


「すごい筋肉だ……」

 リンと同い年くらいの男子生徒が、思わず声を漏らしている。

「騎士のが似合いそう」

 どこからかそんな感想も聞こえる。いや、納得の見た目である。


「入学おめでとう。私は担任のレイモンド。君達はこの国の選ばれた、一握りの魔法使いだ。これから宜しく」


 リンは初めての学園生活を楽しもうと思った。


 休み時間、二人の生徒がリンに話しかけてきた。

「私はエマ、よろしく」

 元気な女生徒だ。好奇心の強そうな、大きくて緑の瞳がリンを見る。

「僕はカナタ。宜しく」

 少し俯きながら、眼鏡の男子生徒が頭を下げた。

「私はリン。宜しくお願いします」

 リンも自己紹介をする。


「同年代なの、この三人だけだね」

「確かに、皆んな歳上だ……」

 カナタは眼鏡を上げて、周りをきょろきょろ見ている。

 魔法学園は一般的な学園とは違う。純粋に魔法を学ぶ学園であり、年齢は関係ない。なので、中にはマーサくらいの生徒もいる。


「あの女の子、確か最年少の入学者だよ」

 エマの視線の先にいたのは、十歳位の少女だ。ツインテールの金髪が可愛らしい。

「私、話しかけてくる!」

 エマは積極的な性格らしい。少女の元へ向かう。

「カナタとエマは知り合いなの?」

 リンがカナタへ質問する。カナタはリンと目が合うと、すぐに逸らした。

「ううん。僕もさっき、エマに話しかけられたんだ」

「二人とも」

 エマが少女を連れて戻ってきた。

「はじめまして。ライラです」

 自己紹介をする間、リンはライラから目が離せなかった。肩まで伸びたクルクルの金髪に青い瞳、まるで……

「ライラって、お人形さんみたい!」

 思わず呟いたリンを、ライラがぎょっとした目で見た。

「そんなこと! ないです……」

 そのまま下を向いた。照れ屋なのかもしれない。

「年齢も近いし、クラスも一緒だし、仲良くしようね!」

 エマがニコニコしながら話すと、ベルがなった。

読んでいただき、ありがとうございます。

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