魔法学園へ
鏡の中には、真新しいローブに袖を通し、少し緊張した表情の自分が映っていた。
今日から魔法学園へ通う事になったリン。準備をして歩き出すと、前方から歓喜の声が聞こえた。
「リン様、そのローブよく似合ってます」
「マーサ!」
「学園へ通うのに憧れてましたものね。本当に良かった……。リン様いってらっしゃい」
マーサは感極まった様子で、リンを送り出す。大袈裟だなあ。と内心思いつつ、リンも嬉しい。
「うん、行ってきます!」
マーサに手を振って馬車へ乗り込む。学園までそう遠くないのだが、初日は馬車で行くのが慣わしだとマドカが言っていた。
馬車の中には先約がいた。
「リン、おはよう。今日も可愛いね。ローブ姿は新鮮だ」
「レイ? なんでいるの?」
そこにはレイが優雅に座っていた。リンはマドカを思い浮かべる。
「私も外に用があるから、リンと一緒に行こうと思ってね」
「本当?」
「まぁ、いいじゃないか」
レイは手を引いてリンを隣に座らせた。そのまま握った手を離す様子はない。
「レイもこの学園に通ってたんだよね?」
「あぁ。魔法が好きだったから、父上に頼み込んでね」
「レイが通った学園かぁ。楽しみ!」
リンがたまらず笑う。楽しみで胸が高鳴る。
「私も付いて行きたいが、今日は門までにするよ」
今日は?
そんな事を言っている間に、馬車は学園に到着した。
「じゃあ、行ってくる」
「うん。リン忘れ物」
そう言うと、レイはリンの額にキスをした。
「!」
「行ってらっしゃい」
何事もなかったような顔でレイが手を振る。
「……行ってきます」
レイは本当に心臓に悪い。
学園は貫禄のある、重厚感のある建物だ。さすが、名門である。大きな門から中へ入ると、芝生が一面に広がり、奥には森が見える。
校舎の中は吹き抜けになっている。大きなステンドグラスが反射して、フロアを色とりどりに染めている。
リンは、入学してきたであろう生徒達の群れに付いて歩いた。すると壁に名簿が貼られていた。自分の名前を見つけ、教室へ入り後ろの空いている席に座る。ここだと教室全体が見渡せる。しばらくすると、先生らしき男性が入ってきた。
「すごい筋肉だ……」
リンと同い年くらいの男子生徒が、思わず声を漏らしている。
「騎士のが似合いそう」
どこからかそんな感想も聞こえる。いや、納得の見た目である。
「入学おめでとう。私は担任のレイモンド。君達はこの国の選ばれた、一握りの魔法使いだ。これから宜しく」
リンは初めての学園生活を楽しもうと思った。
休み時間、二人の生徒がリンに話しかけてきた。
「私はエマ、よろしく」
元気な女生徒だ。好奇心の強そうな、大きくて緑の瞳がリンを見る。
「僕はカナタ。宜しく」
少し俯きながら、眼鏡の男子生徒が頭を下げた。
「私はリン。宜しくお願いします」
リンも自己紹介をする。
「同年代なの、この三人だけだね」
「確かに、皆んな歳上だ……」
カナタは眼鏡を上げて、周りをきょろきょろ見ている。
魔法学園は一般的な学園とは違う。純粋に魔法を学ぶ学園であり、年齢は関係ない。なので、中にはマーサくらいの生徒もいる。
「あの女の子、確か最年少の入学者だよ」
エマの視線の先にいたのは、十歳位の少女だ。ツインテールの金髪が可愛らしい。
「私、話しかけてくる!」
エマは積極的な性格らしい。少女の元へ向かう。
「カナタとエマは知り合いなの?」
リンがカナタへ質問する。カナタはリンと目が合うと、すぐに逸らした。
「ううん。僕もさっき、エマに話しかけられたんだ」
「二人とも」
エマが少女を連れて戻ってきた。
「はじめまして。ライラです」
自己紹介をする間、リンはライラから目が離せなかった。肩まで伸びたクルクルの金髪に青い瞳、まるで……
「ライラって、お人形さんみたい!」
思わず呟いたリンを、ライラがぎょっとした目で見た。
「そんなこと! ないです……」
そのまま下を向いた。照れ屋なのかもしれない。
「年齢も近いし、クラスも一緒だし、仲良くしようね!」
エマがニコニコしながら話すと、ベルがなった。
読んでいただき、ありがとうございます。
面白ければ星5、つまらなければ星1
ついでにブックマークもいただけると嬉しいです。




