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魔導士は猫になりたい  作者: 紙絵


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6/9

屋敷にて

「リン、お婆様、昨日はよく眠れましたか?」

 翌朝、レイが様子を見にきた。

「おかげさまで……人生で一番ふかふかのベットでした」

 おばあちゃんは夢見心地である。

「うん! ふかふかで、すごくよく眠れた!」

 昨日、屋敷に着き、部屋に案内された時は驚いた。私と祖母、それぞれのお付きの方、それぞれの部屋まで準備されていた。

 まるでお姫様になったみたい……

「それは良かった!」

 レイは満足そうに笑った。

「それで、二人に見せたい魔法があるんだ」

 レイは何やら楽しそうである。

 レイが目を瞑ると足元から風が起こり、青白く光る。

 次の瞬間リンの前にいたのは、猫だった。

「レイがクロに戻った!」

 久しぶりの猫に、リンはテンションが上がってクロを撫でまわす。

「かわいい〜」

「ちょっと! 撫ですぎだ!」

 手を離して後ずさるリン。

「クロからレイの声が……」

 クロは机に飛びのる。

「そう! 猫に戻れるし、なんと話せるんだ」

 リンはちょっとテンションが下がる。

「それ猫じゃない」


「私に呪いをかけたのは、魔法学校時代の私の同級生だ」

 人に戻ってレイが話す。

 どこかに飛ばされていってしまった、あの男のことだと思った。

「とても優秀な方でしたが、お師匠様には叶わず。嫉妬心から嫌がらせを、しょっちゅうしていたようです」

 レイの弟子のマドカが説明する。彼も優秀な魔導士である。黒髪で緑の瞳をしている。

 マドカは師匠を一年間も探していたそうだ。レイは猫ライフを満喫していたというのに、気の毒である。

 あの後、飛ばされた先を探したが、見つからなかったらしい。どこかへ逃げているようである。

 村を焼き尽くすなんて簡単に言う、危ない奴だ。早く捕まってほしい。

「飛ばされて少しは頭が冷えたでしょうが、またいつ何かしに来るかわかりません」

「迷惑なヤツだ。今度は捕まえた方がいいな」

 レイもマドカも呆れているようだ。


 リンは屋敷を探索していた。

 レイは忙しいのか、マドカとどこかへ行ってしまったし、おばあちゃんは部屋でゆっくりするらしい。

 お屋敷は広い。部屋が幾つもあって迷いそうだ。

 ウロウロしていたら中庭に出た。

「ここも素敵……」

 ベンチがあるので休憩させてもらおう。

 すると膝に何か乗ってきた。

「クロ! どうして?」

「ちょっと休憩しようと思ってね。窓の外を見たらリンがいたから。書類仕事は懲り懲りだよ……」

 そう言うと膝の上で丸くなる。

 ネコやり慣れてる……

 リンはクロを撫でる。無意識である。

「喉乾いたな。リンもお茶にするかい?」

「お茶! 素敵な響き!」

 外でお茶を飲むなんて、まさにお嬢様ではないか! 変に興奮しているリン。

「マドカ! 用意お願いできる?」

 クロが話すと、上から視線が。

「レイ様そんな所に! お茶ですか、分かりました」

 あっという間にお茶の準備が整う。魔法とは便利なものだ。

「はぁ〜。美味しそう……」

 リンはうっとりお菓子を見つめる。

「嬉しそうで良かった。好きなだけ食べていいからね?」

 レイはクロになったまま話している。

「レイに戻らないの? 喉乾いたんでしょ?」

 リンが言うと、クロは人に戻る。

「そうだった。リンの膝枕気持ち良くて忘れてた」

 レイがさらっと口にする。

「それは猫だから!」

 なんだか違う意味に聞こえてムキになるリン。

「レイ様が楽しそうだ……」

 マドカはそんなレイを珍しそうに見ている。

 リンとレイ、マドカでお茶をする。

 優雅な時間である。

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