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魔導士は猫になりたい  作者: 紙絵


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4/5

事情

家に戻り、クロは2人に事情を話す。

「私は魔導士だ。名前はレイ。

一年前に呪い師によって猫にされてしまってね。その時拾ってくれたのがリンだ。本当にありがとう。あのままだったら私は死んでいたよ」

クロもとい、レイが頭を下げる。

「お礼を言うのは私の方です。村と私達を守ってくれてありがとう」

リンと祖母が頭を下げる。

「なぜ人に戻れたの?」

「おそらく、リンの力だと思う。」

「私?」

回復魔法は使えるけど、呪いを解いた事はない。そんな事できるのは上級魔法使いではないか?

「リンが私を撫でたり、ぎゅっとしたり、キスする度に、だんだん力が戻っていく感覚がしていた」

「へ?」

リンは恥ずかしくて顔を手で隠した。

だって猫だったから…穴があったら入りたい!

祖母は恐縮している。

「クロが魔導士様…!」

「魔導士って、都でお仕事している?」

リンはさほど詳しくない。

「政のあれこれを決めたり、暦を管理したり、怪物を倒したり、偉い人達だよ!」

「おばあちゃん詳しいね」

「そりゃあ長く生きてるからね」

いや、そういうの好きなんじゃないか?

「本当にお世話になりました。私は一度自宅に戻ろうかと思いますが、改めてお礼させていただきます」

クロはとても紳士的である。

「そっかクロ…じゃなかった、レイの家はどこなの?」

「リン!敬いなさい!普通なら話もできない地位の方なんだよ」

そんなこと言われても、さっきまで猫だったのに急に無理である。

「お婆様、大丈夫ですよ。自宅は都にあって、ここには術で飛ばされたようです。どの辺かは分かっています。」

「今まで帰らなかったのはなぜ?」

リンは不思議に思った。多分、そんな偉い魔導士ならば猫の姿でも帰れるはずだ。

「いや、怪我が治ったら出て行こうと思っていたんだが、居心地が良くてね…気付いたら一年経っていた」

レイは頭をかいている。

猫みたいな仕草である。

「という事で、明日ここを発ちます」


布団に入ってクロを呼ぼうとして、はっとする。

もうあの猫はいないのか。

ちょっと寂しくなって1人で寝ようとすると、ノックの音がした。

「リン、一緒に寝よう?」

レイが入ってきた。

「え!でもでも!」

狼狽えるリンに、気にしないレイ。

「いつもと一緒だよ。ほら入って」

手を引っ張られて布団に入れられる。

「おやすみ」

レイはそう言うとリンをぎゅっとする。

「お…おやすみ」

あったかい。そいえばクロはマイペースだった。

その温もりに、いつの間にか眠ってしまったリンだった。

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