石化解除
ランドルの町の石化については、シスター達が対応することになった。魔法学園の生徒達もそれに協力し、みんなで交代しながら祈りを捧げ、一週間ほどで町は元の姿を取り戻していった。
「ランドルの町の復興どう? リンも参加しているのよね?」
エマが訊ねる。
「うん。明日で多分、最後になると思う」
リンが頷いた。学園では、エマ、ライラ、カナタ、そしてリンの四人が話している。
「リンはヒーラーとして、もう必要とされてるなんて凄いな……」
カナタが少し遠くを見て話す。
「ランドルの町までは、とうやって行くの? 馬車?」
エマが首を傾げる。
「みんなは馬車で、私は飛んで行く……あっ」
「え! リン飛べるの!?」
ライラが驚きのあまり、持っていた教科書をバサリと落とした。エマも目を見開いてリンを注視している。
「すごいわリン! あなたいつの間に飛行魔法を……! 私も頑張らないと!」
「あはは、教えてくれる人がいて……」
「教えてくれる人って……?」
カナタが身を乗り出して質問した、丁度その時
「ヒーラーのみなさんは教会へ集まって下さい」
サリー先生の凛とした声が聞こえた。
「あ、ごめん! 私行かなきゃ! じゃあ、またね!」
リンは慌てて鞄を抱えると、そそくさと教室を後にした。
ふぅ……助かった……。
早くランドルの町を救いたいと、その事を強く考えていたあまり、うっかり飛行魔法の事を言ってしまった……。このままだと、みんなから質問責めに遭うのは目に見えている。
レイのこと秘密にしないといけないのに、うまい回答考えとかなきゃ……!
◇
教会で、シスター達は、ランドルの石化解除の最終確認を行なっていた。リンは祈りを捧げるグループに配置されている。
シスターパームが声をかける。
「明日はいよいよ、直接人々に祈りを捧げます。きっと明日で、ランドルの町は完全に元に戻るでしょう。みなさん最後まで気を抜かずに、そして無理をせずに行なって下さい」
「はい!」
全員の力を合わせて、街を必ず元通りにしてみせる――リンは心の中で静かに誓うのだった。
◇
人に向けて祈りを捧げる当日は、総動員で行う。石化から元に戻った時、体調が悪かったら回復魔法も必要になるからだ。もちろん、リンも参加している。
「いつ見ても不思議よね……」
「本当に石になっちゃうなんて」
シスター達は不安そうに話し合っている。
「皆さん、始めましょう」
シスターパームの合図で、シスター達は一斉に祈り始めた。リンも幸せを思い、祈りを捧げる。無数の温かい光の粒が空へ舞い上がり、人々は徐々に色を取り戻していく。
「私はいったい……?」「あれ、何だか体が重い……」
石から人に戻った人々は、戸惑いながら座り込んだり、ふらついたりしている。
「皆さん、回復魔法をお願いします」
「行きましょう!」
サリー先生の呼びかけで、待機していた回復グループが一斉に駆け寄り、回復魔法を施していく。こうして街は、徐々に以前のような活気と賑わいを取り戻していった。
「本当に、本当にありがとうございます!」
町長が何度も深く頭を下げる。
「おじいちゃん、泣かないで?」
小さな女の子が町長の手をそっと握り、顔を覗き込んだ。
「私の孫です。元に戻って、本当に良かった……」
みんな元に戻って本当に良かった……でも、こんな酷い事をするあの魔法使いは、絶対に許せない——。
再会を喜ぶ人々の姿を見て胸が温かくなると同時に、リンの心の中には、事件を引き起こした魔法使いに対する強い怒りがふつふつと湧いてくるのだった。
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