追手
「リン、話があるの」
祖母がいつになく真剣な表情でリンを呼ぶ。
「どうしたの?おばあちゃん」
2人は向かい合ってテーブルに座る。
「リンも17歳でしょ?私もいい歳だし、そろそろ将来のことを考えてもいいかなと思って」
「うん」
「村長さんがね、リンを息子のお嫁さんにしたいって言ってるの」
「え?私が?村長さんの息子って…大分年上じゃない?」
以前農作業を手伝った時に、おじさんだと思った記憶がある。
「確かに年上だけど、そんなに問題でもないでしょ?私の夫も10個上だったわ」
そういう事じゃない。
「おばあちゃん、私にも選ぶ権利がある」
リンは自分の意見を述べる。
結婚するなら好きな人としたい。
「おばあちゃんは、リンの将来が心配なの。私がいなくなったら、リンは1人になってしまう。家族がいたら助け合えるでしょ?」
「クロがいるから1人じゃない」
「にゃあ」
クロはリンの足下で鳴いた。
「まぁ、ちょっと考えておいて。でも、遠い将来の話じゃないってことは分かっていてね」
祖母はそう言うと出かけて行った。
村長の家に行くのだろう。
リンはしゃがんでクロを撫でながら呟く。
「クロはいいなぁ、将来の事考えなくてもよくて」
リンはため息をつく。
クロはじっとリンを見ている。
「心配してくれてるの?ありがとう」
リンはクロにキスした。
その夜、キャア!わー!
なんだか外が騒がしい。
「どうしたのかな?」
リンはそっとドアを開けて外を見る。
村の人達が走っている。
「おばあちゃん!見て!」
リンが空を指差した所に人が浮かんでいる。
あれは魔法使い?村を襲っている?
「危険だから森に逃げましょう」
祖母がリンと手を繋ぐ。
「おばあちゃん!クロがいない!」
いつも布団で丸くなっているはずなのに…
「きっと外に出たんだわ。私達も早く行きましょう!」
祖母が手を引いて逃げ出す。
他の村の人達も逃げまどっている。
「出てこい!何処にいる!」
男の声が聞こえる。大きな音もする。
何か探してる?
逃げようとした前方の森が急に燃え出した。
「ひっ!」
祖母が悲鳴をあげる。
村人もみんなパニックになっている。
「聞きたい事があるんだ。逃げるな!」
森を燃やした男が目の前に着地する。
男はローブを着て、頭にフードを被っている。顔はよく見えない。
「俺は魔術師を探してる。この辺にいるはずだ、男をかくまってないか?」
みんな口々に知らないと訴える。
「最近この村に入ってきた新人はいない。あなたが探している男性は知らない」
村長が男に訴えた。
「ほぅ。そうか。」
男は手を挙げる。手に炎が巻き付く。
「全く見つからない。むしゃくしゃするから、この村は全部燃やす事にする。」
「な!なんでそんなこと…」
リンは怒りを覚えた。
「ちょっと!それは横暴すぎる!」
リンは祖母の前に立ち、魔法使いに突っかかる。
「威勢がいいな、よほど死にたいようだ」
男が手を上げると、炎が現れる。
やられる!




