休み明け
魔法学園は今日から授業再開である。
「おはよー」「おはようございます」「久しぶり」
生徒達は久しぶりに会う級友と楽し気に話している。ここでも、カナタとエマが興奮気味に何か話していた。
「あのドラゴンの討伐に?」
「そうなんだよ! 魔導士様が……たまたま僕は居合わせて」
リンはそんな二人のやり取りを微笑みながら聞いている。
「おはよう。どうしたの?」
久々に見たライラは少し背が伸びている。
「ライラおはよう」
「カナタがさぁ、魔導士様と話したんだって」
「へぇ」
ライラの目が光る。
「ライラ興味ある?」
エマがキラキラした瞳を向ける。
「まぁね。魔導士様って、紫の瞳の?」
「そうだよ。凄かったなぁ」
カナタが思い出すように上を向く。カナタの頬は少し赤くなっている。
エマだけでなく、カナタもレイのファンになってる……?
リンは何とも言えない表情で皆を見ていた。
「いいなぁ。私も話してみたい」
「ライラ珍しい〜。やっぱり女の子だね」
エマがニコニコしている。当のライラはなぜか引き攣った笑顔をしていた。
「リンは魔導士様に興味ないの?」
ライラの大きい瞳がこちらを見ている。
「うん、まぁ。ないこともないけど……」
どうしよう。何て返せば……
ジリリリ……!
「予鈴だ」
「席戻ろうか」
皆、散り散りに席に戻る。リンはそっと息を吐いた。何て答えても質問攻めに合いそうで、予鈴に助けられた。
休み明け最初の授業は薬草学だ。
ヒーラーは別教室で、一般の薬とは別の物を作る。
「今日は回復薬を作ります。鉱石によって何に効くか変わります。この薬草を入れて、鉱石は自分で選んでみて、では、皆さんもやってみましょう」
先生が伝えると、各々作業を開始する。
リンが薬草学の授業で作ったのは、風邪薬。
我ながら、良い薬ができた!
色も綺麗な橙色、ほのかに甘く飲みやすい。
鞄へ入れて自分の教室へと戻る。いつものメンバーが、ライラの机の周りで集まっていた。
「リン、帰ってきた」
「見てみて! 私の解毒薬、すごい効きそうでしょ?」
エマが見せてきた小瓶には、紫と黒を混ぜたような濁った液体が入っている。
「それ自体が毒に見えるけど……」
「良薬口に苦しって言うでしょ? これもその類だよ」
「この薬は誰の?」
リンが指した小瓶は鮮やかな緑色である。
「それは僕の」
カナタが手をあげる。
「これは何の薬なの?」
「解毒薬だよ。エマと同じ……」
「ええ?」
全く違う色である。まさか同じ薬だとは思えない。
「ライラのは?」
「コレ」
見せてきた小瓶はやはり鮮やかで緑色である。
「エマ……それ、捨てた方がいい」
「そんなぁ」
エマは項垂れた。
「リンはどんな薬作ったの?」
「私のは風邪薬だよ」
鞄から出した橙色の小瓶に釘付けになる。
「綺麗……」
「ヒーラーは病気の薬も作るんだね」
カナタが一人納得して頷いていた。
読んでいただき、ありがとうございます。
面白ければ星5、つまらなければ星1
ついでにブックマークもいただけると嬉しいです。




