後日談
ドラゴンが王都へ現れたその日、王都の私立図書館から本が盗まれた。
それは、数日前に魔法学園から運ばれた禁書であった。厳重に保管されていたが、ドラゴンの騒ぎに乗じて手薄になった所をやられた。火事場泥棒と見せかけて、本来の目的は禁書だったといえる。
「よくやったな」
「はい。再びチャンスをいただけた事、感謝します」
項垂れる少年。
「そうだな。感謝しろ」
魔法使いは『禁忌呪文』の本をめくる。上機嫌な魔法使いは饒舌だ。
「今度は何をアイツに使ってみよう? 前回は動物になる呪いを使った。何の動物になったか確認する前に逃げられてしまったが……ふっ。あの猫が変身したのには驚いたよ」
ただの遊びなのだろう。と少年は思った。この魔法使いは小さな子どものようだ。
「ドラゴンはそろそろやられる頃だろう。俺達もさっさと逃げようか」
魔法使いはローブの中に禁書を忍ばせ、軽い足取りで進んでいく。対する少年の足取りは重い。
◇
朝の特訓後、大きく伸びをするレイ。
「今日はこれで終わりにしよう」
「うん。ありがとうレイ」
リンもレイに倣って伸びをする。
「リンの友達も頑張ってるみたいだね」
「ん?」
「黒髪の彼。昨日ドラゴン討伐で、しっかり防御魔法使えてたよ」
「カナタが! そっかあ!」
小火騒ぎの時、落ち込んでいたカナタが目に浮かぶ。
カナタ、頑張ったんだなぁ……
微笑むリンを見るレイ。
「そんな顔して、私以外の男の事考えるなんて」
「へ?」
「妬けるね」
リンの頬を触るレイ。
「ひゃ」
心臓が跳ね上がる。
「朝ごはん食べようか?」
手を差し出すレイ。レイを睨むリン。
「……うん」
手を取ると、その手を離さぬまま二人は朝食へと向かった。
◇
もうすぐ休みが終わる。
リンはお屋敷の図書室で課題を進めていた。
「ふぅ」
息を吐くリン。膝に何か乗ってきた。
「レイ!」
黒猫姿のレイだった。
「やぁリン。休憩かい?」
「うん。レイも?」
「あぁ。ここが一番落ち着く」
丸まって眠るレイ。リンは自然とレイを撫でていた。
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