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魔導士は猫になりたい  作者: 紙絵


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16/39

夏休み

 朝起きると、隣にレイが寝ていた。

「ひゃっ!」

 

 びっくりしたぁ。しかし珍しい、いつも早くに起きているのに……。


 最近は一緒に寝る事に慣れてきて、動揺も少なくなってきたと思っていた。

「おはよう」

 レイが眠そうに目を開ける。寝起きからキラキラしている。

「おはよう。レイ、今日は遅いね?」

「うん。休みだからね。リンは今日は、お友達とお茶会だっけ?」

「うん。エマとカナタとライラ」

「そっか。ペットも連れていく?」

「家にペットはいません」

「ダメか……」

「ダメです!」

 悲しそうなレイはリンをぎゅっと抱きしめる。急な展開にリンの心臓が跳ね上がる。

「れ、れ、レイ⁈」

「気をつけ行ってきてね」

「は、はい」

 真っ赤になり、固まるリンを見てレイは笑っている。レイは本当に心臓に悪い。


 ◇


 エマの家は都の南側、海の近くにあった。馬車に乗せられて辿り着いたそこは、立派なお屋敷だった。大きな門に広々とした中庭、レイの屋敷ほどではないが、エマがお嬢様なのは確定である。


「お待ちしておりました。リン様、どうぞこちらへ」

 水色のワンピースを着たリン。髪は軽く巻いて一つにまとめている。


 因みにこの姿を見たレイは、リンは何を着ても似合うねと言っていた。


 従者の方が屋敷を案内してくれる。

「お嬢様はサロンでお待ちです」

 そこにはライラとカナタもいた。皆、いつもより着飾って、少し緊張しているように見える。

「リン! ありがとう、きてくれて。そのワンピースとても似合ってる!」

 主催者のエマは、薄いピンクのワンピースで清楚なお嬢様というイメージだ。髪はハーフアップにしている。

「エマも可愛いよ。遅くなってごめん!」

「ライラも……」

「やめて」

 間髪言わずにライラが言い放つ。ライラは白のワンピースだ。長い金髪は一つに結ばれている。

「あはは。カナタもカッコイイね」

「ありがとう……兄から借りてきた」

 エマが伝えると、カナタは少し照れているようである。白いシャツが眩しい。


 友達とお茶会をするなんて、今までのリンの生活からは考えられない変化である。リンは改めてレイに感謝した。

「さぁ始めましょう! かしこまったお茶会じゃなくて、バイキング形式にしたの。好きな物から好きな順番で食べれるのよ」

 エマがニヤリと笑う。

「わぁ」

 リンが目を輝かす。

「美味しそうだね!」

 カナタがメガネを上げた。

「これ、食べたい」

 ライラはもう、何を食べるか決めたようだ。

 緊張していた面々も、堅苦しいお茶会ではないと分かって安心した様子である。


 甘い物を食べて、緊張感はなくなりリラックスした面々。

「カナタ、お兄さんいるんだね? お兄さんは魔法使いなの?」

 リンが質問する。

「ううん。兄は魔法騎士団の隊長なんだ」

「ええ! すごい」

 ライラが声を上げる。

「お兄さん凄いのね!」

 エマも驚いている。

「魔法騎士団ていえば、魔法も剣も使える一流の集団よね。騎士団が手に負えない案件や、魔法が絡んだ事件に出動している優秀な方々……鍛錬も気合いが入っていて素晴らしかった覚えがあるわ。その隊長なんて……」

 リンも驚いた。驚きすぎて王女の部分が大分出てしまっている。

「リン詳しいね!」

 カナタが感心している。というか、皆に注目されている事に気が付き、我にかえるリン。

「あはは、そう、私好きで詳しいの!」

 頑張って誤魔化す。

 

「エマ、今日はありがとう」

 リンが手を振る。

「すごく楽しかった!」

 カナタも笑っている。

「ケーキ美味しかった」

 ライラはお腹をおさえている。

「こちらこそ、楽しかったわ! またやりましょう」

 皆、手を振り別れた。


 ◇

「ただいま」

「お帰りなさいませ。リン様。少しよろしいでしょうか?」

 お屋敷に戻ると、マドカが待っていた。レイの部屋に通される。


「おかえりリン」

 椅子に座ってお茶を飲むレイ。ただお茶を飲んでいるだけなのに、絵になるレイである。

「ただいまレイ」

「お茶会どうだった?」

「うん、楽しかったよ」

「それは良かった」

 笑顔で微笑む二人。

「マドカが新たに情報を仕入れてきてくれたよ」


「はい、リン様。弟子と思われる人物は、リン様のご学友の中におります」

「……そうですか」

 俯くリン。

「例の魔法使いを誘き寄せるために、策を講じたいと思います。リン様もご協力いただきたい」

「はい。もちろんです」

 リンはマドカの目を見た。

読んでいただき、ありがとうございます。

面白ければ星5、つまらなければ星1

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