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カラス

「シャルナ、もう居ないな?ココに」

「霊はルイトに移ったでしょ?レナちゃんに1度消えていた黒いカラスが...」

「は?じゃあそいつも俺に憑かせればいいんだな」

「なんでそうなるの?!ルイトくん!真っ青なくせに真顔のフリしてさ、このカラスも請け負ったらどうなるか...」

「じゃあいくぞ〜」

「聞いてる?!」

「俺なりに考えてみたんだ。魔力を使わない術をな。不魔術ー消悪滅霊亡縛」

指先に溜めた縄のように繋がった不魔術を勢い良くカラスに向ける。

カラスの魂の部分を縛り、コチラと繋ぐ。

多分こいつは祓えない。

戦ってもカラスはタフだろうしな。

そして、カラスがこっちに来た途端、身体がズシッと重く感じた。

「ルイト...左手……」

「ん?あぁ、黒くなってるな。」

「なってるなじゃなくない?!動く?!」

「変色してるだけ」

「ならいいけど……」

「良くないでしょシャルナちゃん...」

「え?」

「変色以外に変化したところない?」

「ないぞ?」

もちろんあるが、黙っておく。

左手で撃って良かった……右手が危うく動かしにくくなるところだった。

ヤバいヤバい……平気を装っていないとバレるな……レナが鋭すぎるし……

「お寺に……」

「大丈夫だって!俺よりこのぬいぐるみ供養しないといけないだろ?」

「それはそうだけれど……」

「さっさと行くぞ」

「はいはい……」

体に支障が出てるのは墓まで持ってくか……その方がいいだろ。

片手がなくなったらどうなるんだろうな……不便なんだろうな……そうなったら溺死が1番良いか……間違って溺れたで済むしな……うん

「ねぇ、ルイト。無理してない?」

「なんでそうなる」

「左手さっきからいつものように脇腹に当ててないし」

こいつも意外に鋭かった……

「気分だ」

「無理は禁物だよ?」

「わかってるって」

「ひとりで抱え込んだら許さないから」

「……」

俺以外、誰がやるんだよ……抱え込まなかったら

「やっぱ無理してるんでしょ?」

「別に?さっ!いくぞ!」

危ないな……とりあえず寺に話逸らすか

「話逸らすな!」

「え?」

珍しくシャルナの口調が強い……

「身の丈に合わない祓い方したからでしょ?」

「行くぞ」

なんでそんなに睨むんだよ……俺を除いて元気だろ?健康で何が悪いんだよ……俺が間違ってるのか?違う。断じて違う。この命、人を守るために費やすがために生まれて来たものみたいな感じだ。第3王子だしな。誰も心配しな……

「誰も心配しないなんて思わないで!」

なんでわかるんだよ……無視するか……うん…俺には関係ないな……

「無視するな!」

「じゃあ、ひとつだけ...憧れの人が死ぬよりこっちが死ぬ方が罪悪感がないだろ?それだけ」

「こっちの罪悪感は?」

「え?」

「自分のことだけ考えて自分はどうでもいいみたいに...自分の体を物のように扱うな!」

「別にいいだろ」

「良くないッ!」

「レナ達待ってるから行くぞ」

「少しは自分の本当の気持ちと向き合ってみたらどうなの?」

「自分の……本当の……気持ち?」

「恐怖心は?躊躇心は?自分なんてどうでもいいの?」

「どうでも...」

「良くない!いつから?!その考え方捨てよ?」

何か熱い1粒の水滴が頬から落ちた。

読者のみなさん、今回も読んでくれてありがとう!

第29話は、ルイトの自己犠牲が限界突破して、シャルナが本気で怒った回だった。

まず、開幕からルイトがこれ。

「じゃあそいつも俺に憑かせればいいんだな」

いや、なんでそうなる!

シャルナもレナも読者も全員ツッコんだ...少なくとも作者も...

そしてルイトの新技。

不魔術ー消悪滅霊亡縛

名前が物騒すぎる。でも効果はガチ。

カラスの魂を縄で縛って引き寄せるとか、やってることは完全に呪術師。

ただし代償がデカい。

左手が黒く変色。

本人は

「変色してるだけ」

で済ませようとするけど、読者は全員「いやいやいやいや」ってなるんじゃない?作者も読み返してそうだった。

そしてレナの洞察力が鋭すぎる。

「左手さっきからいつものように脇腹に当ててないし」

この子、探偵か?

さらにルイトの心の声が重い。

• 片手なくなったらどうなるんだろ

• 溺死が一番いいか

• 間違って溺れたで済むしな

ここ、読者の心臓がギュッとなるところ。

そしてシャルナがついに爆発。

「自分の体を物のように扱うな!」

「良くないッ!」

「いつから?! その考え方捨てよ?」

この怒りは、“怒ってる”んじゃなくて“心配しすぎて怒るしかない”やつ。

そして最後の一滴。

ぽたり、と落ちる涙。

ここで読者の心が完全に持っていかれるはず...

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