依り代
「持ってきたよ」
そう言ってレナは机の上にぬいぐるみ16体と針、筆、血を入れる容器を置いた。
「じゃあ下準備をササッとするぞ」
「早くやってね?」
「はいはい、じゃあシャルナはレイカを見張ってろ。その8体の霊が何か言ってたらすぐ知らせろ。お前だけだからな?霊ミエルの」
「りょ〜かい」
ということで始める。
まず、血を入れる容器を俺の人差し指の下に置き、針で思いっきり指を刺す。
痛いのは気にしないでおこうか……自分で痛めつけるのは趣味じゃないし……痛ぅ……あ、ポーカーフェイス保っとくか……
「痛そ〜ってかなんでそんな平気そうな顔してるのよ……」
「別に?」
「はぁ……抱え込むタイプか……」
数分経ち、十分血が溜った。
もっとザックリ切った方が早かったかもしれない。
人差し指を咥えながら筆に血をつけてぬいぐるみ1体1体の腹に塗る。(※止血を優先しなさい...細菌入って炎症します。)
塗っている途中にシャルナが声を上げた。
「ルイト!この女の子達の腕がレイカちゃんの首に向かってる!」
「嘘だろ……魔術は?!」
「やってみる!除霊とかの部類ないからオリジナル!」
「大丈夫なのか?」
「多分!数打ちゃ当たる!」
「なんだよその意味不明理論……」
「除霊系統繊細魔術ー除不霊光ー強」
「ネーミングセンス……」
とりあえず完成させないと…
「あ!ちょっと苦しんでる!」
「じゃあその上いけ」
「わかった!除霊系統繊細上位魔術ー世不霊光ー極!」
オリジナル魔術作るのでさえ難しいのに簡単に作るの怖……バケモンだろ……
「どうだ?あと1体で終わる!」
「効いてるっぽいけどこっちの魔力が!」
「終わった!そのまま続けとけ!」
「上から…わかった!」
ほぼネット情報だけれど……一か八か!
「アマツノカミヨココニジャシアルコトヲホウズル!アマテラスオオミカミ、ツクヨミノミコト、スサノオノミコト、アメノミナカヌシノカミ、タカミムスビノカミ、カミムスビノカミよ、ジャシヲココニフウジテクレタマエ!」
「何その意味不明な呪文……」
「ルイトくん...精神科行く?」
そんな会話も聞こえないルイトだった。
読者のみなさん、今回も読んでくれてありがとう!
第27話は、ルイトの雑さ・シャルナの天才(?)・レナの常識が三つ巴で暴れた回でした。
まず今回のルイト、開幕から
「じゃあ下準備をササッとするぞ」
と言いながら、やってることは
• 指を思いっきり刺す
• 血を筆に付けてぬいぐるみに塗る
• ポーカーフェイスで痛みに耐える
という、完全にホラー映画の犯人側w
レナの
「痛そ〜ってかなんでそんな平気そうな顔してるのよ……」
が100%正しい。(気づきましたか?ルイトが〇〇してるのを)
そしてシャルナのオリジナル魔術。
「数打ちゃ当たる!」
いや、当たるな。
魔術はそんなノリで撃つものじゃない。
ネーミングも
• 除不霊光ー強
• 世不霊光ー極
と、勢いだけで作った感がすごいネーミングなのに、ちゃんと効いてるのが一番怖い。
さらにルイトの祝詞。
「アマツノカミヨココニジャシアルコトヲホウズル!」
シャルナの
「何その意味不明な呪文……」
レナの
「精神科行く?」
この温度差が今回のベストシーン。
そして読者は思ったはず。
「いや、精神科行くのはお前ら全員だろ」
最後までルイトは会話が耳に入っていないという、
集中力だけは異常に高い男だった...うん……うんうん、てことで!今回の依り代編は、
• ぬいぐるみ16体
• 血塗り作業
• シャルナの謎魔術
• レナの常識ツッコミ
• ルイトの祝詞暴走
という、“現代転移したはずなのに一番現代感がない回”でした。
次回、霊はどうなるのか、
レイカは助かるのか、
ルイトの指は無事なのか、
お楽しみに。




