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93 盗賊退治4


 テアからの報告で、どうやら地下に捕らえられている女性以外にも見張りがいることが判明した。

 しかしその数は2人だ。


 テアにはその2人が何かをしでかさないか、見張っててもらう。


 私はというと、口を塞がれ手足と胴体を縛られているジェルドさん達に、定期的にヒールをかけながら、ジェルドさん達を処分しに来るであろう人を待つ。


 全員今すぐに開放してもいいんだけど、地下に閉じ込めたままの女性達も解放してくれ、と言われたら少し困ってしまう。

 もちろん安全は保証しているけど、この人達は不安で仕方ないと思う。私の言うことを素直に聞いてくれるかどうか、そのリスクにかけている場合ではない。


 

 かれこれかなりの時間待っていると、夕方を過ぎた辺りだろうか。


 小屋に誰か近づいてくる。

 人数は1人。


『テア。少し上が騒がしくなるかもしれないから、2人をちゃんと見張っててね。もちろん、気付かれる前に始末する予定だけど』

『うむ。念のため地上の入り口に防音魔法を張っておこう』

『そんなのもあるのね』


 じゃあ遠慮せずにやっちゃってもいいかな。


 私は以前シーナにかけたような魔法を、5人にかける。


 私が魔法を解くまで、眠りから覚めなくなる魔法だ。


 5人の意識は遠のいていくが、誰1人として抵抗できるものはいない。


 よし、眠ったね。


 

 扉が開く。


 ─────ガチャッ


「チッ。なんだぁ? 全員呑気に寝てやがんのか?」


 薄気味悪い笑みを浮かべた男が入ってきた。


「今から殺されるってのに、クソがっ! 起きやがれ!」


 この男はバカなの? 騒がれたいの?


 男が眠っているジェルドさん達に暴言を吐き続けるが、起きるわけもない。


「チッ!もういい、死ね!」


 男が剣を向け、振りかぶった。


 ─────ガギィッ!


「な、っ!?」


 もちろん、私が剣を受け止める。

 

「なんだこれ!? くそッ! 防御魔法か!?」


 男に私の姿は見えていない。


「あなた今、この人たちを殺そうとしたよね?」

「誰だっ!?」

「質問に答えないと痛い目にあうよ。お兄さん?」


 ─────ゴフッッッ!


「グガァッ…!?」


 とりあえずの腹パンチだ。


 男の口から血が吹き出る。


 こりゃ内臓もやられてるかな?


「質問に答えてくれるかな?」

「っ……あ……」

「人は殺すのに、自分が殺されそうになったら黙っちゃうんだ?」

「……が………」

「あなたを今すぐ殺してもいいんだけど、どうせ他にも汚いことしてきたんでしょう? 全部吐いてもらうまで、あなたに死ぬことは許されないから」


 私は男にヒールをかける。


「な、なにが……起こっている…」

「質問に答えろって言ったよね?」


 ─────ゴフッッッ!


「グァッ…!?」


 また血が飛び出る。

 我ながらに痛そうなパンチだ。


 またヒールをかける。

 

「早く答えてちょうだい」

「だま…れ…」


 ─────ガギィィッ!!


「ぁぁぁあぁぁぁァッ!?」


 男の腕を反対方向に曲げた。


「早くして」

「ころ……れ………」

「なに?」

「こ……ろして…く…れ……」

「何を寝ぼけてるの? 全部吐いたら終わるって言ってるんだから。あなたもしかしてそういう性癖があるの?」

「っ……だ……」

「もういいわ。今から王国に預けるから、その人達に正直に話してちょうだい。もし私が帰るまでに吐いてなかったら、また私が話を聞いてあげるね? ふふっ」

「……も…むり……」


 私は男に転移魔法をかけ、王宮騎士団の牢獄へと転移させる。


 グレンさんには予め伝えてあった。

 牢獄に常に何人か滞在させておいて欲しいと。

 

 最初から、私に話すとは思っていなかったからね。

 私がいま姿を見せていても、それは変わらなかっただろう。

 それにきっと、私が吐かせるより、王宮騎士団の取り調べを受けて吐いた方が素直にその情報も信じられる。


 後はグレンさん達に任せるとしよう。

 

 さて、次にやることは……。


 私は寝ている5人を転移させる。

 場所は王城の応接室だ。


 最初はジェルドさんだけの予定だったんだけど、まぁ多少増えていても問題ないよね。


『テア。少し離れるから、お願いね』

『うむ』


 事情を説明するためにとりあえず私も転移する。




「リン様!」

「リン様はやめてちょうだい!」


 5人を連れて応接室へと転移すると、使用人の偉い方が待機していた。


「ちょっと訳があって人数が増えたんだけど、大丈夫ですか?」

「もちろん、大丈夫でございます」

「それじゃあ、後はお願いしてもらっていいですかね。人質にされている人たちは安全だと伝えてあげてくださいね」

「ハッ! かしこまりました」

「まさかないとは思うけど、暴れ出したりしたら多少おとなしくさせてもいいので」

「全力で、何事もないよう対処させて戴きます」

「ありがとう。それじゃあよろしくお願いしますっ!」

「ハッ!」


 私は5人にかけた魔法を解き、すぐに国王の部屋へと転移する。


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