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85 強力な魔法(常識的)


「ヘイード先生! お願いがあるんですけど」

「なんや? 言うてみ」 

「私とテアに、最大火力で魔法を放ってくれませんか?」


 授業へと戻った私は、早速ヘイード先生にお願いをしてみる。


「なんやて?」

「私に、最大火力で魔法を────」

「いや聞こえとるっちゅうねん。どういう意味や、言うこっちゃ」

「そのままの意味ですけど…」

「そんなことしたらこの国から追い出されてまうわ」

「大丈夫ですって! 私が先生の安全は保証しますから!」

「いやぁ、いくらなんでも……」

「じゃあ命令にしちゃいますよっ?」


 ふふふ。私を誰だと思っている。

 国家魔法師総代様だよ??


「そ、そこまで言われたら…… やるしかないわ」

「さすが先生!」

「複雑な気持ちや」


 そういうわけで私に全力で魔法をぶつけてもらう。


 もちろん、あまりにも意味のわからない光景に全学生と先生がこちらを見ている。


「ほんまに本気で構わんのやな?」

「もちろんです! 先生が本気で攻撃しても、私が死ぬことはありませんし!」

「なんか傷付くわそれ。ワイも強なっとるんやで?」

「あはは… 多分大丈夫です」


 安心してもらうようにと思った言葉が、逆に人を傷つけた。


 ごめんなさい。


「ほな、いくで」


 そう言うと、先生の体から明らかに濃い魔力が立ち込めてくる。


「我が元に集まれ、炎の根源────」



 えっ!?


 思ってたより恥ずかしい詠唱が始まった。


「─────我が命によりこの大地を覆い尽くす爆炎となり、かのものを地獄の炎で焼き尽くせ……!」




「─────殲滅爆炎牢!!!!」




 ─────ゴォォォォォッッッッ!!!



 その瞬間、私の足元が爆発が起きたように揺れ、一瞬にして目の前が炎の赤色に染まった。


 思いの外強い…っ!!


 試しに体に巡らせている魔力を薄め、身体強化を弱めてみる。


 ……うん。

 私とて不意打ちでされたら火傷くらいはする火力だ。


 というかヘイード先生、詠唱するときは関西弁じゃなくなるんやね。


「これがこの世界の人間の戦力ってことか。なんか思ってたより強いね」

「うむ。もちろんあの件で魔力が増えたことも関係しておろうがの」


 そんなことを話していると、隣からセリとシーナの声が聞こえる。


「あっつ〜! さすがに暑いわここ!」

「これは身体強化フル活用しないとタダじゃ済みそうにないわね」

「2人もそう思………え?」


 セリとシーナが横にいる?


「って、あんた達なんでここにいんのよ!!」

「だってリンが楽しそうなことしてたから」

「わたしたちも来たのよ」

「だからって! ダメでしょ! この間まではあんた達より格段に強い人の本気の魔法だよ!?」

「でも今は絶対わたしの方が強いし大丈夫よ。ね? シーナ」

「あたりまえよ」


 この2人はもうダメだ。

 脳筋国王と同じ匂いがする。


 どこに地獄の炎の中に転移してくる女の子がいるのよ。


 まぁもういい。この2人のことは気にしたらダメだ。

 ヘイード先生が疲れたら困るし、そろそろやめてもらおう。


「ヘイード先生もう大丈夫です〜!」


 わたしの一声で目の前で炎が消えた。



「ぶ、無事─────って!? なんでセリとシーナまでおんねん!?」

「あはは…来ちゃいました」

「その、すごく暑い魔法でしたわ」

「ワイはなんも悪ないからな! なんも責任取らんからな!」

「私が保証しますから大丈夫ですって」


 この2人にはさすがのヘイード先生も参っているようだ。


「ところでリン。これなんの意味があったの?」

「まぁ、先生の本気の魔法を見ることで、この国のレベルがわかるんじゃないかと思ってね」

「お得意の実験ね」

「まぁそんなとこかな」


 とりあえずヘイード先生の魔力を元に戻してあげる。


 元々あった魔力を戻すと、ヘイード先生は「リンはこんなこともできんのかいな…もうなんでもありや…」と言っていた。


 よし、とりあえずの目標をまとめよう。


 私はやること手帳を取り出す。

 やることが多すぎて作っておいたのだ。


【やることリスト】

・ラーメン作り

・砂糖問題の解決

・自身に使う飛行魔法

・宮廷魔術師団の訓練

・魔導書の解読


 っと。

 とりあえずはこんなもんかな。


 次の目標は砂糖問題かなぁ。

 糖分がないって結構困る。

 ラーメン作りにしても、糖分は必要だ。


 私、チャーシューは甘めが好きだからね。


 魔導書の解読はかなり時間がかかるかもしれないが、いずれ教科書のようなものを作って仕舞えば、魔導書が必要なくなるかも。

 とは言え、そうなると魔導書で儲けている人たちに影響しそうだ……。


 というかそもそもの話をすれば、前に国王も言ってたけど、今この世界の現状のままでも誰も困らない。

 私のいた世界が、やたらと発展していただけの話だ

 

 魔導書云々は気にはなるけど、無理にこの世界の仕組みを変える必要もない。

 魔導書でここまでの力が出せるのなら、それでいいと思う。

 

 ともあれ、ひとまずは砂糖問題を解決したい。


 次の休みは偵察がてらルーズの街にでも行ってみようかな。


以上、意外と強かったヘイード先生でした(?)

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