79 フレア・グレイス
2話投稿の前半になります〜!
どうやら、私が冒険者ギルドで助けた生徒は国王の娘、つまり王女様だったらしい。
「リンさんがどうしてここに?」
いや、あなたこそどうして1人で冒険者ギルドに……。
「えっと、その、国王に用事があって……」
「お父様にですか…」
なにやら、やたらと国王の顔を伺っている。
「そんなことよりフレア。お前また昨日護衛の隙をついて逃走したようだな。どこに行っていたんだ?」
なるほど。そういうことね。
というか、王女に隙ができる護衛って大丈夫なの?
全然守れてないよ?
「えっと……その……トイレに」
「トイレなら護衛に言えば良いだろう!」
いやさすがにその言い訳はバレるでしょ。
いくら相手が脳筋でも誤魔化せないよ、それは。
「そ、その………」
「怒らないから。正直に話しなさい」
しばらく沈黙している。
「冒険者……ギルドに………」
「どうして言わなかったんだ?」
「ごめんなさい……」
「ゼーネから話を聞いた。リンに助けてもらったんだってな」
「はい……」
「どうして昨日、本当のことを話してくれなかったんだ?」
あれ?
国王って意外とまともな教育してるの??
「わ、わたしだって! もう立派な大人なのです! いつまでもお父様を頼るわけにはいきません!」
「フレア。お前はまだ子供だ。年齢は大人かもしれないが、女の子が一人で冒険者登録しに行くなんて、どれほど危険なのか分かっていただろう?」
「そ、それは………」
「この街は表面的には安全だが、同時に国の中心だ。いろんなやつが集まってくる場所でもある。冒険者ギルドなんてその代表例だ」
「はい……」
しっかりしたお説教が続いている。
私、そろそろ帰ってもいいよね?
と、考えていると、なぜか私の名前が出てくる。
「リンに迷惑をかけたんだ、謝りなさい」
「い、いや! そんな謝ってもらうようなこと、私されてないですし」
「あの、リンさん。ごめんなさい。わたしのせいで……」
「フレア? 私は大丈夫だから。だけど、1人で危険な場所に行くのは、王女様という以前に女の子として危ないよ。もしものことがあってからでは、お父さんやお母さんだけじゃなくて、みんなが心配するでしょ?」
「はい……」
「わかったら、もういいの。今度から気をつけてね?」
笑顔でフレアに言うと、「はいっ!」と元気よく返事をしてくれた。いい子だ。
一応同い年だよ?
さて、もう帰れる雰囲気だね。
「じゃあ私はそろそろ帰ることにしますね。お腹も空きましたし……」
「ねぇリンさん! これからお食事なの、食べて行かない?」
「えっ?」
いやいや、王族のお食事に平民の私が混ざるのはダメでしょ。
それに、そんなすぐ言われても、料理作ってる人が困るでしょ。
「ほう、それもいいな。誰かいるか?」
国王が人を呼ぶと、執事さんらしき人が部屋に入ってきた。
「この子の食事も用意できないか聞いてきてくれ」
「ハッ。それでしたら大丈夫でございます」
なんで? この執事さんなんでそんなことわかるの? まだ誰にも聞いてないよね?
もしかして………テレパシー!?
「リン様がお見えになられた時から、お食事をして帰られるかもしれないと思い、勝手ながらご準備させていただいておりました」
こえぇ〜〜〜!
優秀な人材こえぇ〜〜!!!
フレアの顔が満面の笑みで満たされている。
この状況は………
シーナと同じだ。
貴族や王族と言った肩書を貼られ、何もしていないのに自由を制限され、周りからも一目置かれてしまうが故に、心を開ける友達などが少ないのだ。
まぁ、フレアもいい子だし、今日は適当に食事する予定だったから問題ない……か。
「ところでリン様。テラリア様のお食事はいかがいたしましょう。一応こちらも準備させているのですが」
執事さんが私の肩に乗っているテアを見ながら聞いてくる。
「そういえばテアっていつもどんなもの食べてるの?」
「妾は基本なんでも食べれるぞえ?」
「まぁ言われてみればそうかも」
「妾は基本ひと月ほどは食事しなくても平気なのじゃが、もし何か用意してもらったなら頂くとしようかの」
ひと月も食べなかったら間違いなくぶっ倒れている。テアはすごいよ(?)。
「それでは、もう準備ができておりますので、こちらへどうぞ」
優秀すぎて怖い執事さんに案内されるがまま、王族のお食事会へと参加するのであった。
環境に縛られると、不意に抜け出したくなりますよね。
次話は夕方ごろに載せます〜!




