76 初!まともなご来店
ってここかよ!!!
なんと私は、クシミルさんのお店の前に来ていた。
「ここは私の教え子が働いているお店なんだけどね、一度招待されて来て以来、つい通ってしまうようになっちゃって。本当に美味しいから期待していてよ」
「あの…ここ……」
「大丈夫よ! お金の心配ならいいから! おいで」
そう言ってネアン先生が私を引っ張り中に入る。
「いらっしゃ─────ネアン先生!?」
「ノーエっ! 来たわよ!」
「今日は学院のはずでは………」
「あぁそれはね、ちょっと用があってね。学院を抜けるついでにこの子に美味しいご飯を食べさせてあげようと思って」
「この子って誰で ──── リンちゃん!?」
「あ、あはは……お元気そうで、よかったです」
「えっ!? 2人とも知り合いだったの!?」
「リンちゃんはわたしの命を助けてくれたんです。命の恩人ですよ」
「ノーエさんこそ、私に親切にしてくださったんです。色々と感謝していますよ! 特に、学院長がヤバいっていう話は、かなりタメになりました」
「「学院長……」」
2人とも少し顔が引き攣る。
まぁ確かにアレはヤバい気がするよ。
「これはこれは、リン様。それにネアン先生も。よくいらしてくれました」
「料理長もリンちゃんとお知り合いなんですか?」
「えぇ、リン様には大変お世話になっております」
「そ、そんな……私ほんとに何もしてませんから……」
「またまたご謙遜を。立ち話もなんです、ノーエにお席までご案内させます」
そう言って席に案内される。
ネアン先生は、色々と不思議に思っている表情だ。
無理はない、ここは割と高めのレストランだ。
そんなレストランの料理長や店員が、14歳の子を、命の恩人だのお世話になっているだの言われていると、いろいろ気になると思う。
どうやらノーエさんもその気配を感じ取ったのか、私たちに声をかける。
「先生には今でもお世話になっているし、先生が聞きたいなら話しても全然構わないですよ。少しは先生にも話したことありましたし」
「もしかして、例の子のこと?」
「はい。まぁ簡単にいうと襲われちゃいまして。それをリンちゃんが助けてくれたんです」
「あまり気持ちいい話じゃなさそうね」
「美味しい料理には、あまり向いてないですね……。また後日にしますか?」
「いえ、可愛いノーエが大変な目にあったのよ。それに、今はこうして元気なのでしょ? だったら今更暗い気持ちになっても仕方ないわ」
ネアン先生がノーエさんの話を聞く。
最初は、ノーエさんのあまりにも酷い状態に、涙ぐんでいたが、私が治癒魔法を使ったことにより完治したと聞くと、少し顔が晴れやかになっていた。
最後まで聞いたネアン先生は、私にこう言った。
「ノーエは昔から、わたし達が心配になる程、心がしっかりしていたのよ。それに魔術学院も出ているし、腕は多少あるの」
腕はともかく、心がしっかりしているのは間違いない。
「そんな子がストーカー程度では怯む訳がなくてね。絶対に注意しておいた方がいいと言っていたんだけど…。わたしも、ずっとノーエに付き添うわけにもいかないし」
ネアン先生は続ける。
「だけどまぁ、現実はこうよ。心が強すぎる故に、さっき言っていた惨劇なんて本当に何とも思ってないし、リンちゃんに救われたことで今もこうして元気に生きている」
「そうそう。結果良ければ全て良しってことよ!」
ノーエさんが笑顔だ。
あんなことがあったのに…。
まぁ本人がここまで言うんだ。
気にはかけても、お節介なほど心配しすぎるのは良くないのかもしれないね。
すると間もなく料理が運ばれてきた。
今日はコースではなく、ワンプレートに収まる量だ。
もちろんどれも美味しかった。
料理を食べ終えた私は、改めてクシミルさんにあの話を聞いてみる。
「クシミルさん。砂糖ってどうなってますか?」
「それが、まだ手に入らないのです。どうやら噂では……」
「ルーズですか?」
「っ! どうしてそれを?」
「まぁ、私ほどになるとね」
「そ、そうでありました……。まぁそういうわけで、なかなか手出しができないようなのです」
「なかなか手強い相手ってことだね……」
少しずつ探りを入れてみようかな。
いつでも行けるように、一度ルーズの街に行っておこう。
ルーズの街についてネアン先生に聞きながら、研究所へと向かう。
やっぱりね。と思った方もいたでしょう。やっぱりでしたね(?)




