68 先生
しばらく教室で雑談をしている。
リィクはルーズの街、メルはストレーンの街から来たと言う。
「ルーズってどっかで聞いたことあるんだけど、なんだっけ」
「あのノーエさんを襲った3人組のボスが商業ギルドマスターしてる街よ」
「あぁ、あそこか……」
数日前のことなのに、もう記憶からなくなっている。それだけ濃密なイベントばかりだった。
「ねぇリィク。ルーズの商業ギルドマスターってどんな人なの?」
「あんまりいい噂は聞かないんだよね。噂ではやばいこともやってるとか」
「なるほどねぇ」
どうやら領民からも良くは思われていないらしい。
「最近じゃあなぜかルーズに砂糖の流通が少しだけ増えてて、どうやら国外に売り飛ばしてるって噂だ」
「なるほど。じゃあそういうことになりそうだね」
「なにがだ?」
どうやらセリとシーナも同じことを考えている。
「まぁ、リィクにはまた今度詳しく聞くかも」
「俺だけ教えるのはずりぃぞ! けどまぁ、リンのことだから俺たちには話せないこともあるよな……ごめん」
「なにを謝ってんのよ…」
「ヒィッ!」
どうして怯えてるのよリィクくん。
その後もルーズの黒い噂を教えてくれた。
何とも気分の悪い噂ばかりだ。全部本当なら、慈悲の心は一切いらない。
「ねぇメル。ストレーンはどんな街なの?」
「結構田舎なの。わちゃは落ち着いてて好きなんだけど……。虫とか結構多くて…」
「うわぁ〜! 虫だけはほんとに無理なんだよね……」
「ねぇリン待って。そこじゃない。わちゃって何?」
「わちゃ?」
「ねぇメル? わちゃって言ったよね?」
「言ったよ? わちゃのことわちゃって言わないの?」
「だからわちゃって何なのよ!!」
するとメルが「わちゃ」と言いながら自分のことを指差す。
一人称だったのかよ。
「わちゃの街では普通だったんだけど…変なのかな……」
「「「「変だよ」」」」
「うっ……。頑張ってなおす…」
まぁ可愛い子が言えば可愛いのかもしれないけどさ。
ゴリゴリのおっさんが「わちゃ」って言いながら話してるのはちょっと厳しい。
そんな話をしていると、セリが小声でシーナに話しかけていた。
「シーナっ。リンの弱点がわかったねっ」
「わたしもむりよ」
「シーナもかよぉ〜」
「セリ。あなた何を企んでいたの?」
「うっ……。な、なんでもないよ!」
「もし急に虫が現れたりしたら、勢い余って街ごと消し飛ぶかもしれないわよ」
「ほんとにやりそうだからやめて」
「妾は虫結構好きじゃが」
「テアも!?」
「うむ。まぁもちろん、あまり美味しくないやつもいるがのう」
同じ土俵で喋ってた私がバカだったよ。
「テアさんはどういう生き物なんですか?」
「妾か? 妾はこの世界にはあまりおらん生き物での。もちろん人間ではないが、そこらの動物とも少し違う。その証拠に喋れるじゃろ?」
「確かに。普通に喋ってるけどすごく変です」
「俺も改めて思うけどすごく変な状況だな」
「だけど、テアさんは優しい子だと思うな。リンと一緒にいるし」
「じゃあわたしも優しい子ってことだ」
謎理論に、セリが便乗してきた。
「セリは妹のために命を賭けて戦ったんだもんね? 優しいよね? あのときの涙はやっぱり今思うと─────」
「ちょっとリン! やめてよ……」
「フハッ!」
「え? 何その話気になるんだけど」
「また今度教えるから、内緒にしててねっ?」
「もぉ〜!!」
そんな会話をしていると、教室の扉が開いた。
「まいど〜〜っ!」
まいど!? 大阪人が来たの!?
「ここがS-1やなぁ? ワイがここの担当なったんや。よろしく頼むわぁ〜」
キャラ濃いの来たぁ〜!
こういうタイプは結構好きなんだよね。喋ってるだけで割とツボに入る。
「今日はもうこの後なんもあれへん。みんなさすがに疲れてるやろ。けどカードだけ確認させてや〜。もし入れ替わってたりしたら敵わんからな〜」
私はカードを出す。
そういや、ギルドカードってひさしぶりにちゃんと見たけど。なんか色々増えてる。
さては試験の受付に渡してから増えてるな。返してもらった時、ちゃんと見てなかった。
てかあの時点では、私書類見てないし。見てないのにもう書いてたな。もし私がそれ見つけて抗議してたらどうなってたの…。
サリナさんに私の行動どこまで読まれてるんだろ。
こわいよ。
「ふむふむ。君が噂のリンやなぁ? なになに、特任星級魔術師はともかく、大聖者やて? リンは回復魔法も使えんの?」
「まぁそれなりにはいけますね」
「はぁ〜〜! なんじゃそりゃ。えらいこっちゃ。もうワイなんも教えられへんわ」
「あ、あはは……」
そのあと4人のギルドカードを確認する。
「さすがに入れ替わってるやつはおらんかったけど、今年のS-1クラスはえらいこっちゃなりそうやで。あ、いうの忘れてた。ワイの名前はへイード言うねん。よろしくたのむで〜。ほな、解散!」
なんかぬるっと終わったけど、大丈夫なのこれ。
「あ、せや! リンは後で学院長室に行ってくれ言われてたんや。なんやら話があるらしいわ。セリとシーナも一緒で構わんそうや」
「わかりました! ありがとうございます」
そんなわけでメルとリィクとは別れ、私たちは学院長室へと向かう。
投稿時間は当分の間、少なくとも12時には見られるような時間にしようかと思ってます。
毎日投稿もできる限り続ける予定ですっ!




