66 事後。そしてこれからは
2話投稿の前半部分になります!
壇上を降りる。
みんな、私を見る目がおかしい。
私はただの14歳だよ。
私は2人の元へと戻る。
この2人だけは相変わらずだ。私のことをまた笑い物にしている。
「特任星級魔術師様だ」
「セリもぶっ飛ばすよ」
「これからはマイマスターじゃなくてマイ特任星級魔術師様だね…」
「シーナ? やめよう? もうマイマスターでいいから。だから、それだけはやめよう?」
「い、以上をもちまして、入学式を閉会いたします」
おわったよ。
そんなあっさり終われないよ。私は。
ここからは各自のクラスへ移動する。
どうやらそれまで少し時間があるようで、本来ならこの隙に、会場の外に待機している上級生が、学生生活のアドバイスと謳いながら、課外活動の勧誘をしてきたりするそうだ。
ところが今年は一向に会場から人が出てこない。
なぜなら……。
「あの〜っ!!」
「星級魔術師様!」「どうかわたしの名前を!」「フォーセル様!」「歴史部に入りませんかぁぁっ!」「ぜひ握手してもらえませんかァッ!」「リン様〜〜!」「リン様万歳〜!」
「みなさ〜んっ!」
「「リン様〜!」「結婚して〜!」「ぜひ!ぜひ俺を冒険者パーティーに!」「リン様ぁ〜!」「特訓してくださいっ!」「うちらと一緒に料理を作りませんかっ!」
この有様だ。
新入生どころか、会場にいた上級生までもがこの有様だ。
「ねぇセリ〜。シーナ〜。どうしよこれ……」
「耐えて。わたしはしらな〜い」
「セリ! わたしたちは先にクラスに行かないかしら?」
「賛成ー! じゃあリン。あとでね!」
「ちょ、ま、まってよー!!」
「お待ちください!!」「セリ様〜!!」「シーナ様!!わたしと握手して下さい!!」「セリ様〜!こちらを向いて下さい!」「待ってくださ〜〜い!」
「ちょっ!? どこ触ってるのよ!」
「やっ!」
ブフッ! あいつらも狙われているじゃん。あの2人だってこの学年2位と3位だ。それに試験会場でも話題になっているし噂も立っている。
それはそうと、300人近くの学生が私たちを囲おうと揉みくちゃになっているため、移動すらできない上に落ち着く気配も微塵もない。
てか、もはや私のこと認識してなくない?
そこのお姉さん。私のいる場所と逆の方向に叫んでるよ。
そこのお兄さん、その女の子は私じゃないよ。
まぁこの騒ぎが鎮まるのを待てばいいかもしれないけど、一向に鎮まる気配もなければ、学院に来るたびにこんな状況になられても困る。
何かいい解決策は……
…あ、私天才かもしれない。
ひらめいた。
私たちの変な噂とこの騒ぎを鎮めて、さらには変な媚びをへつらってくるかもしれないお偉いさん達も黙らせる方法。
ちょっと騒ぎになるかもだけど。適当に誤魔化そう。
シーナとセリに語りかける。
『シーナ。セリ。聞こえる?』
「えっちょ、なんなの、これ…」
「なにこれ気持ち悪っ!?」
『話は後。とりあえず黙って聞いて。今から──────』
シーナとセリに作戦を伝える。
『────賛成なら頷いて。私がみんなの目を欺くから』
シーナとセリがお互いに顔を見合わせ頷く。
2人が私の方を見る。
よし。お願いします。うまくいきますように。
─────直後、私は目を開けてられないほどの光魔法を放つ。
その後すぐ、私たち3人は壇上に転移する。
学生たちが起こった状況を考え始める。
よし、黙ってる今がチャンス!!
「皆さ〜ん! 静かに聞いてくださ〜い! 国家魔法師総代として、ここにいる全てのものに命じます!」
よしよし、全員聞いているな。転移もバレてなさそうだ。
私のプランは、命令だ。
「その1!
私と同級生のものは、私たちに無駄な敬語を使用しない! 特に様付けと称号呼びは絶対ダメです!
その2!
上級生や先生方、そこの隅にいるお偉いさんも、私たちに敬語を使わない! 特にそこのお偉いさん方、地位やらが目当てで媚びへつらってきても、私は出世などに一切関わりません! 孫娘と同じような歳の女の子に媚びへつらってまで出世なんてするもんじゃありません!
その3!
私や、シーナ、セリに対して、握手を求めたりサインを求めたり結婚を求めたり同じ冒険者パーティーになろうと迫ったりしない! この歳で結婚なんて考えてません!!
その4!─────」
私は肩にテアを呼ぶ。
「─────この子は、 私の大切な家族です! 巷では猛獣などと言われているようですが、めちゃくちゃ可愛くてかっこいいんです!! バカにしたら許さないからっ!」
一瞬、一部の空気が凍りつく。
猛獣などと言っていた自分を後悔しているのだろう。
あと、自分で言っててなんだけど、テアはドラゴンだ。猛獣どころの騒ぎじゃない。
「─────最後に、学生生活をみんなで最高に楽しむ! 以上!!!」
またもや活かされた、教師という経験。
感謝してるよ。過去の私。
しばらく沈黙が流れる。
「おーーーーっ!!!」
1人の男子生徒が雄叫びをあげる。
それを皮切りに大歓声が起こる。
「「「「おーーーーーっ!!」」」」「一生ついていくぞーー!」「お前ら気合い入れろよ!」「なんと偉大な…!!」「この国はなんて平和なの!」
などと口々に感想をこぼしている。
みんなバk…コホンッ。単純な思考回路でよかった。
オジサン達にやたらと媚を売られても困るし、私たちは普通に学園生活を送りたいのだ。あまり一般市民とかけ離れた存在だとやりにくい。
咄嗟に思いついたが、我ながら上出来だ。うまく立場を活かせた。
成功した………よね?
大丈夫………だよね?
転移魔法は……。うん。
バレたわけじゃないから、そのうち騒ぎがおさまるのを待とう。
もし聞かれたら……街中のショーでおじさんがやってたとでも言うことにしよう。
すると、隣にいたセリに話しかけられる。
「リンの前世は国王か何かだったの?」
「あはは……ただの先生だよ」
「「先生!?」」
「え、なに」
「通りで………」
「納得したわ……」
よくわからないが何やら2人に納得され、私の学院青春生活は、無事好スタートを切った。
初対面の時、大人数相手に喋るよりも、1:1の方が緊張するんですよね。
自分だけですかね‥?




