64 学院長と任命式
「続きまして、学院長挨拶。魔術学院 学院長 サリナ・デューセル」
「「「 はい?? 」」」
私たちは顔を見合わせる。
「えっと、同姓同名ってこと?」
「いえ、壇上にお母様がいますわ」
「シーナのお母さんって書類整理の事務が仕事って言ってなかった?」
「わたしもそう聞いていたんだけど……」
「魔術学院 学院長。サリナ・デューセルです」
「サリナさんだ」と、私。
「お母様」と、シーナ。
「シーナのお母さん」と、セリ。
ってそんなこと言ってる場合じゃないわ!!
サリナさんが学院長?
そんなこと一言も言われてないんだけど。
いや、待てよ………。私たちを権力で入学させようとし、お金のことも心配ないと言われ、国王とタメ、これだけ条件が揃っていたらわからなくも………
ってわからんわ!!
素直に学院長してるって言ってよ!
学院長は書類を扱う事務員じゃないから!!
なんで隠してたのよ!
……とすれば?
実技試験であんな失礼なこと伝えたのサリナさんだったのかよ!!!!!
うん。納得だ。
だってあの人頭おかしいもん。
プログラムの急な変更も納得だ。
だってサリナさんだもん。
「先程の新入生代表、リン・フォーセルさんの素晴らしい演説を聞いた後に、わたくしの挨拶など、聞いても仕方ありません。わたくしから言うことは特にありません。さっさと終わらせましょう」
サリナさん今日も絶好調だよ。
ほら、司会の人が困ってるじゃん。
っておーい!! もう壇上からいなくなってるよ! ほんと大丈夫かこの国!
「今日もサリナさん絶好調だね」
「シーナのお母さん、だいぶ強引ね」
「まったく、お母様にはいつも困らされているのよ。今度リンからもきつく言っておいてよ」
「いや、国王が言っても無理だから、私程度じゃ無理だって」
「それもそうね」
「いやシーナのお母さんすごく恐ろしいんだけど」
「「同感よ」」
「つ、続きまして、任命式を行います」
「ねぇシーナ。これなに?」
「わからないわ。わたしも初めてだし。お母様も何も言ってくれないもの」
「そりゃそうだ」
これだけはなぜか、先生たちの聞く態度が全く違う。端に座っているお偉いさんまで背筋が伸びている。なんの任命が始まるの?
我々学生は、私たち含めてもう帰りたいオーラ全開だ。
…もしかして!?
国王がダメすぎて国王が交代とか!?
………ちょっとだけ、いや、結構ありえるから怖い。
司会の人が式を進める。
「この度、我が国において、新たな役職を置くことが決議されました。その役職は、宮廷魔術師団及び我が魔術学院、高等魔術学院における、全ての魔法分野に関する最高責任者となります。訓練や実践に加え、国の危機的状況などに対しては、国王様に次いでその指示や判断を取り決めることが可能となります─────」
「なにそれ。事実的な魔術師のトップじゃん。魔術学院やら宮廷魔術師団を支配できるってことでしょ?」
「まぁ言い方を変えればそうなるわ」
「だけどそんな役職大丈夫なの? 反対とかなかったわけ?」
「わからないけど、こうやって決議されてるということは大丈夫だったんじゃない?」
「そうなのかなぁ…」
なんとも強そうな役職だ。
「─────今回の入学式に際しまして、その者への任命式を執り行いたいと思います」
「なんでまた入学式なのかしら」
「どうせお偉いさんが集まってるんだし、ついでにやっとけってことでしょ」
シーナの疑問にセリが呆れたように返した。
「私たちまで巻き込まないでほしいわ…」
「ほんとね。そんな責任重大な役職のやつとは関わりたくないわよ。まぁわたしたち学生には当分関係なさそうだけど」
「「同感」」
「─────役職名は【国家魔法師総代】。魔術師階級は【特任星級魔術師】の称を与えられます。任命された者は、壇上に上がるようにお願いします」
おじさんの紹介はもうたくさんだから早く終わらせてよ……。
「国家魔法師総代、特任星級魔術師
─────リン・フォーセル様」
「「「「「 えっ? 」」」」」
周りにいた学生が思わず声に出す。
それ以上の言葉もなく、ただ混乱しているようだ。
私たち?
「「「ええ゛えぇぇ゛ぇぇ〜〜〜〜〜っっ!?」」」
もちろん、大絶叫したよ。
2話投稿の前半です!
起床時間がバレてしまいますねw
さて、知らぬ間にとんでもない役職を任命されたわけですが、国はどう言い訳してくるのでしょうかね。




